毎年3,000名以上の方が受験する茶道や周辺の日本文化を総合的に学ぶことができる検定です。
令和3年からは「茶道文化検定Web版」となってオンラインでも受検することができるようになっています。
過去の検定の例から、難易度や合格率、勉強方法を解説していきます。
ご興味のある方お付き合いくださいませ。
この記事の目次
茶道文化検定とは
「茶道文化検定」とは日本を代表する伝統文化であり、日本文化の総合芸術とも言われる茶道の奥深さや素晴らしさを、知識面からも理解し、より深く理解するために立ち上げられた検定です。
令和元年までに12回実施されており、令和3年からはオンラインでの受検ができるようになっています(茶道文化検定Web版)。
*令和2年はコロナ禍のため中止でした。
主催者は「一般財団法人 今日庵 茶道資料館」という京都にある美術館です。茶道に関する美術工芸品や文献資料の展示のほか企画展を開催しています。
裏千家茶道の団体ではありますが、茶道文化検定は流派を問わず受検することができます。
茶道文化検定には4級から1級まで級があり、レベル的には以下の方を対象としています。
対象 | |
4級 | 茶道に興味のある方、茶道初心者の方、学校活動で茶道を学んでいる児童・学生の方 |
3級 | すでに茶道を学んでいる方で知識の確認や充実を図りたい方 |
2級 | 茶道をある程度学んでいる方で、さらに知識の幅を広げたい方 |
1級 | 茶道をしている方で、より知識を深めたい方 |
国際交流が一層図られるようになった現代社会において、海外の方との交流のきっかけとしての茶道が見直され、茶道文化検定も着目されています。
茶道をしている方にとっては普段のお稽古での体験を体系的に学ぶきっかけとなります。また、まだ茶道にふれていない方にとっても、建築や庭園、美術工芸、日本料理など日本文化を総合的に勉強する良いきっかけとなります。
茶道文化検定はこんな人におすすめ
茶道文化検定は次のような方におすすめです。
- 茶道の奥深さや素晴らしさを知るために知識面での充実を図りたい方
- 普段のお稽古での体験を体系的に学びたい方
- 日本文化に興味のある方
茶道は日本文化の総合芸術とも言われており、その分野は日本文化のすべてをカバーすると言っても過言ではありません。
すでに茶道を学んでいる方はもちろん、まだ茶道にふれたことのない方でも、茶道文化検定受検への勉強によってご自分のお茶の道や日常生活を豊かにする一助となるはずです。
また国際社会の中で活躍するためには、自国の文化を理解し他国の方にきちんと説明できることがスタートラインです。
まずは母国語である日本語できちんと茶道を言語化できるように、茶道文化検定を使ってみるのはいかがでしょうか。
なお、4級は小学生でも合格しています。ご家庭での季節やマナーの教育、学校茶道の活動として取り組んでみるのも良いかもしれませんね。
茶道文化検定に合格するとどんな良いことがある?履歴書に書ける?
茶道文化検定に合格することによってどんな良いことがあるのでしょうか。
- 合格に至る学習で茶道や日本文化を深く知ることができる
- 美術館・博物館への入場割引がある
- 履歴書への記載など就職や進学に役に立つことがある
まず、何といっても合格にいたる勉強・学習によって、日本文化の総合芸術たる茶道の奥深さを知ったり、知識面の充実を図ることができます。
これは茶道をすでにしている方にとっては実際のお稽古やお茶会・茶事での体験に還元されますし、茶道に触れたことのない方にとっても、日本文化についてきちんと勉強するきっかけとなります。
次に、嬉しい特典として、美術館・博物館への入場料の割引があります。
令和4年に実施される「茶道文化検定Web版」では直近の合格証によって、茶道資料館(京都)の入場料が無料もしくは割引となります。
さらに、茶道文化検定1級については難易度がとても高いことから、履歴書に掲載することもプラスに働くでしょう。
また最近では「茶道文化検定」受検対策の通信講座の講師としての引き合いもあるようです。
そして茶道文化検定の勉強で学んだことを、リアルなお茶で実践していく。
このような双方向での活用がおすすめです。
茶道文化検定の難易度・合格率
茶道文化検定の直近3年間の合格率は以下の通りです。
難易度としては1級が超難関となります。
2019年 | 2018年 | 2017年 | |
4級 | 65.8% | 86.6% | 87.7% |
3級 | 67.6% | 77.4% | 68.5% |
2級 | 26.0% | 44.0% | 45.1% |
1級 | 2.0% | 12.5% | 5.5% |
*2020年はコロナ禍のため茶道文化検定は中止でした。
茶道文化検定にはどんな問題が出るの?出題範囲・問題数・時間・形式を確認
そんな茶道文化検定にはどのような問題が出題されるのでしょうか。
出題範囲 | |
4級・3級 | 「茶のこころ」「茶の歴史」「茶事・茶会」「茶道具」「茶室・露地」 |
2級・1級 | 「茶の歴史」「茶事・茶会」「茶道具」「茶と禅」「茶席の花」「懐石」「菓子」「茶室・露地」「茶業」 |
*令和4年から問題数や検定時間が変更されています。
【令和4年の出題形式】
問題数 | 時間 | 問題形式 | |
4級 | 50問 | 30分 | 選択式 |
3級 | 60問 | 45分 | 選択式 |
2級 | 80問 | 60分 | 選択式 |
1級 | 80問 | 80分 | 選択式+入力式 |
それではより詳しく級ごとに出題範囲や試験の形式を見てみましょう。
*令和4年の「茶道文化検定Web版」については必ず公式ホームページにて最新の情報をご確認ください。
4級
茶道文化検定4級は茶道に関するごく基礎的な出題がなされます。
50問・30分・選択式
70%以上の正解で合格
- 茶のこころ
- 茶の歴史
- 茶事・茶会
- 茶道具
- 茶室・露地
3級
3級は出題範囲は4級と同じですが、設問数と時間が長くなります。
内容も基礎的なことよりも一歩ふみ出した一般的な出題となります。
60問・45分・選択式
70%以上の正解で合格
- 茶のこころ
- 茶の歴史
- 茶事・茶会
- 茶道具
- 茶室・露地
2級
2級になると4級・3級よりも出題範囲が細かく分かれ、より広く深く知識が問われるようになります。
時間も60分と長くなります。
80問・60分・選択式
70%以上の正解で合格
- 茶の歴史
- 茶事・茶会
- 茶道具
- 茶と禅
- 茶席の花
- 懐石
- 菓子
- 茶室・露地
- 茶業
1級
1級は2級より時間が長くなり、記述式の問題も出題されます。
出題範囲は2級と同じですが、公式テキスト外からも出題されるとされ、
日々の茶道の稽古だけでなく、自ら茶会や美術館に出かけていったりして、研鑽を積んだり知識の充実を図ることも必要になります。
80問・80分・選択式と記述式
80%以上の正解で合格
- 茶の歴史
- 茶事・茶会
- 茶道具
- 茶と禅
- 茶席の花
- 懐石
- 菓子
- 茶室・露地
- 茶業
茶道文化検定の勉強方法
茶道文化検定の勉強はどのように進めれば良いでしょうか。
茶道の奥深い文化を知るためには、やはり実際に茶道の世界にふれるのが一番だと思います。
普段のお稽古やお茶会、美術館や博物館で実際に体験したこと、目にしたことはそのまま検定の勉強にもなります。
その上で検定=合格・不合格が決められる試験である以上、しっかりと対策をしなければなりません。
茶道文化検定公式テキスト
今までの茶道文化検定同様、第1回「茶道文化検定Web版」の実施要項にも、出題について明記されています。
4級・3級・2級は設問の多くを公式テキストの内容から出題
1級は公式テキストを基本に、幅広く出題
何はともあれ
公式テキスト
を押さえることが大事になってきます。
ちなみに
令和3年4月に出版された『茶の湯をまなぶ本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト 1級・2級』の帯にも
次回検定はここから出題されます
と明記されています。
公式テキストは級ごとに分かれており
- 1級・2級→「茶の湯をまなぶ本」
- 3級→「茶の湯がわかる本」
- 4級→「茶の湯をはじめる本」
となっています。
公式テキストの内容自体が茶道文化検定の出題範囲となっており、例えば1級・2級用の公式テキストは以下のようになっています。
- 茶の歴史
- 茶事・茶会
- 茶道具
- 茶と禅
- 茶席の花
- 懐石
- 菓子
- 茶室・露地
- 茶業
それぞれの級に対応した公式テキストで検定に備えましょう。
過去問 | 茶道文化検定公式問題集
どんな試験でもそうですが、合格するには「敵を知ること」=過去問を解くことが大事です。
どれくらいの問題数を、どういう時間配分で解くのか。
幸い、茶道文化検定は問題文に、例えば「茶の歴史」「茶事・茶会」というように出題範囲の項目が記載されています。
ですから実際に問題を解き、採点をすることによって自分の得意分野・苦手分野を知ることができます。
仮に「茶の歴史」のところで不正解が多いならばそこを重点的に勉強するという対策をとることもできます。
茶道文化検定の過去問は公式問題集に掲載されていますので、ぜひチェックしてみましょう。
↓第12回茶道文化検定の過去問はこちら
公式問題集に掲載されている過去問は、直近の茶道文化検定のすべての級(1級〜4級)です。
(例)2021年8月2日に出版された『茶道文化検定公式問題集12』には、令和元年11月10日に実施された第12回茶道文化検定の問題(1級〜4級までのすべての問題)と解答が掲載されています。
*令和2年はコロナ禍のため茶道文化検定は中止
過去問をさかのぼって解きたい場合には、別途そろえる必要があります。
↓第11回以前は「1級・2級用」 と 「3級・4級用」に分かれていますので、ご注意ください。
↓第10回検定問題
茶道文化検定の口コミ | リアルなお声
茶道文化検定1級では記述式の漢字も難しく、例えば裏千家茶道においても、
すでに茶名をもった「専任講師」よりさらに上の、準教授(助教授)や教授の先生方でも
などのお声がお稽古場などで聞かれます。
挑戦のしがいがありますね!
2022年(令和4年)の茶道文化検定Web版 | 日程・申し込み方法
コロナ禍で安心安全で受検できるように、2021年(令和3年)から茶道文化検定をオンラインで受検できるようになっています。
- パソコン
- スマホ
で受検可能!
インターネットやパソコン・スマホでの受検に不安な方へのサポートも万全にするとのことです。家から受検できるようになるのはとても有難いことですね!
受検日程 | 2022年(令和4年)8月26日(金曜日)〜9月4日(日曜日) |
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合格発表 | 受検後すぐに表示 |
申込期間 | 公式ホームページをご確認ください |
受検資格 | どなたでも受検可(年齢・茶道経験・流儀等の制限なし) *1級受検は2級合格者に限る。2級受検は3級合格者に限る。 |
受検料 | 1級→5,000円 2級→3,000円 3級→2,000円 4級→1,000円 |
茶道文化検定公式ホームページ | https://www.chado-kentei.com/ |
受検に向けた勉強の過程で、茶道に関しての総合的な知識が身につきます。
そしてそれは皆さまが歩まれる茶の道に教養として役立ってくるものではないかと思います。
ご参考になりましたら幸いです。