2月。
東京や横浜では立春を迎えて少し暖かくなったかな?と思いきや、
寒暖の差が激しい日が続いています。
裏千家茶道教室 東京中野千秋庵では2月は大炉(だいろ)のお稽古をしています。
【大炉(だいろ) | 茶道の単語】
茶道では11月〜4月までの半年間、茶室の中に「炉」(ろ)という小さな囲炉裏(いろり)のようなものが現れます。
もともと鎌倉時代から暖房用に部屋に取り入れられた形式でもありましたが、
茶道でも寒い季節、お客様に少しでも暖まっていただこうというと茶席の中で取り入れられています。
*「炉」という言葉は「囲炉裏」(いろり)の略でもあります。
「大炉」(だいろ)は特に寒さが厳しい2月頃にお目見えする大きな「炉」です。
通常の炉が一尺四寸(いっしゃくよんすん)、約42.4cm×42.4cm のサイズに対して、
大炉は一尺八寸(いっしゃくはっすん)、約54.5cm×54.5cm のサイズ。
12~13cm四方大きくなっています。
その分暖かい。
外は厳しい寒さなのにお茶室の中は暖かい。
釜の下にある炭の景色(炭火)も暖かい気持ちにさせてくれます。
裏千家11代お家元玄々斎(げんげんさい)が北国の囲炉裏から考えられたもので、裏千家独特のものです。
東京中野千秋庵のお稽古場では2月前半に大炉の運びのお稽古、後半に棚を使ったお稽古をしています。
もちろん炭手前(すみでまえ)も初炭(しょずみ)、後炭(ごずみ)とも行います。
【炭手前(すみでまえ) | 茶道の単語】
茶道ではお湯を沸かすのに、炭で火をおこして、その上に釜をかけます。
その手順を一つの形式にして、お客様の前で火をおこす一連の動作を「炭手前」(すみでまえ)と言います。
茶道での「おもてなし」は、お客様をお招きしてお食事(懐石料理)を召し上がっていただき、濃茶、薄茶と楽しんでいただく「茶事」(ちゃじ)というものになりますが、
炭手前には、濃茶を練る前に行う「初炭」(しょずみ)の手前と薄茶を点てる前に行う「後炭」(ごずみ)の手前があります。
単純に手順を覚えれば良いというものではなく、お客様の前で実際に火がおこり、湯が沸かなければ意味がありません。
裏千家茶道教室 東京中野千秋庵では、それぞれが茶事で亭主となってお客様の前でどのような状況に応じても火をおこせるように炭手前を重視しています。
結果、最初は「お茶が好きだから」という理由で入門して来られた方も、茶事で亭主になったり、ご自分のお稽古場をもって先生になったりという事ができています。
短冊とお花。
椿は太郎冠者(たろうかじゃ)、添えは白梅です。
短冊には「無事」と書いてあります。
「厳寒の今日この頃皆さんがご無事で良かった」という意味もあって千秋庵では2月にこの短冊をかける事が多いような気がいたします。
そして帰りには風邪やインフルエンザにもならないようご無事でありますように・・・と皆さんご挨拶しながら帰って行きます。
後半のお稽古は棚で濃茶や薄茶(絞り茶巾)、包帛紗(つつみぶくさ)も行いました。
江岑棚(こうしんだな)の設え(しつらえ)
江岑棚の引き出しに入っているのは・・・
「春草に蝶蒔絵」(はるくさにちょうまきえ)の長棗(ながなつめ)でした。
茶道ではお道具の取り合わせも大事になってきます。
大炉の季節「大きな釜に大きな棗」ではちょっとうるさく感じます。
そこで少し細いもの、華奢なもの、そして寒い寒いばかりでなく待ちわびる春を感じさせるものも合わせます。
お道具の取り合わせを学ぶ事も茶道の大事なお稽古の1つです。
つくしも描いてあります。
本当に春が待ち遠しいですね♪
【棚 | 茶道の単語】
茶席の中では点前座(てまえざ/お点前するところ)に棚が据えられている事があります。
季節や趣向によって変わり、お客様も点前をする者もとても楽しめるものです。
棚は約150種類くらいありますが(裏千家/他流派と共通のもあります)、それぞれの棚の扱いを学ぶことも大事なお稽古の1つです。
2月後半のお稽古では江岑棚(こうしんだな)といって、表千家・裏千家で共通に用いられる棚の扱いをお勉強しました。
寒い季節に薄茶を温かくいただく工夫として、筒茶碗というものも使います。
筒のように底が深く、お湯が冷めにくいので、お客様にも「あぁ温かい」と最後まで召し上がっていただく事ができます。
筒茶碗を用いる場合には「絞り茶巾」(しぼりちゃきん)という扱いにします。
関東では特に寒い2月頃に「筒茶碗に絞り茶巾」のお稽古をすることが多いです。
寒月の筒茶碗に塩笥(しおげ)茶碗
茶席菓子専門店 和菓子司 太市さまより届いたお干菓子は・・・
「梅(紅梅)にうぐいす」でした。
2月後半のお稽古では、社中の皆さんで千秋庵恒例の雑炊をいただきました。
→東京中野千秋庵恒例・大炉の雑炊はこちらから