随時、花の種類と写真を更新しています。
本日もお越しいただきまして有難うございます。
巣篭もり生活の期間中、心をなぐさめてくれているのが庭の花々でした。
ここ数年、咲き始めが早くなったように思いますが、気候の変動に柔軟に対応しながらも健気に花を咲かせる姿に静かな強さを感じます。
そんな庭の花々から5月の花を写真でお届けさせていただきます。
お勉強をかねまして、お茶席での
- 取り合わせに良い花の例
- 取り合わせに良い花入の例
を一部、淡交社さまの『茶花大事典』を参考にさせていただきながら、書かせていただきます。 *書籍PRを含みます。
茶花で季節を身近に感じていただけましたら幸いです。
↓「この記事の目次」で「見る」をクリックしていただけますと、各お花の項目に飛ぶことができます。
この記事の目次
鉄線(てっせん)
清楚でありながら華やかなお花です。
一輪で入れてもはえるお花です。
その場合の花入としては
- 竹一重切
- 古銅釣舟
- 古銅細首
などがあります。
また取り合わせに良い花として
- 鳴子百合(なるこゆり)
- 泡盛升麻(あわもりしょうま)
などがあります。
紫蘭(しらん)
「紫の蘭」と書きますが、白い花のも紫蘭と呼ばれます。
一輪り凛と入れるのも素敵ですが、
取り合わせによい花として、
- 泡盛升麻(あわもりしょうま)
- 鳴子百合(なるこゆり)
などがあります。
そのさいの花入の一例としては、
- 唐物手付籠
- 桂籠
- 鵜籠(うかご)
などがあります。
下野(しもつけ)

自生している姿よりもお茶席で目にする可憐な姿を思い浮かべる方も多いかと思います。
取合わせには、例えば
- 金糸梅(きんしばい)
- 髄菜(こばのずいな)
- 泡盛升麻(あわもりしょうま)
花入は
- 宗全籠(そうぜんかご)
- 唐物手付籠(からものてつけかご)
京鹿子(きょうがのこ)

たまに下野(しもつけ)と間違われることもありますが、葉っぱの違いに着目すると見分けがつきやすいです。
- 下野→葉の形が披針形(ひしんけい)から卵形
- 京鹿子→葉が深く5~7裂に分かれています
↑下野(しもつけ)。こちらは葉の形が披針形(ひしんけい)です。
↑京鹿子(きょうがのこ)。こちらは葉が5裂に分かれています。
さらに、京鹿子と似ているお花として「下野草」(しもつけそう)があります。
下野草と京鹿子は葉っぱの形も似ているので、ますます分かりにくいかもしれません。
下野草は山地に分布すると言われていますが、
お茶席で見かけたら、まず葉っぱの形で「下野か京鹿子」かを区別した後で、
下野ではないようならば、じっくり観察してみてご亭主に「京鹿子か下野草」かをうかがってみてお勉強させていただくのも良いかもしれません。
京鹿子の取り合わせの一例としては、
- 矢筈芒(やはずすすき)
- 桔梗(ききょう)
花入の一例としては、
- 竹一重切
- 宗全籠
などが挙げられます。
2020年5月終わりに撮影。お軸は白雲自去来「はくうんおのずからきょらいす」。
……………………………………………
お花は
・二輪草(にりんそう)
・京鹿子(きょうがのこ)
・縞葦(しまあし)
花入は鵜籠(うかご)
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小葉の髄菜(こばのずいな)

「小葉の」髄菜(ずいな)というだけあって、葉はズイナよりも小さくなっています。
別名は「姫令部」(ひめりょうぶ)。
取り合わせの一例としては、
- 金糸梅(きんしばい)
- 京鹿子(きょうがのこ)
- 縞葦(しまあし)
花入としては、
- 竹一重切
- 唐物手付籠
などです。
都忘れ(みやこわすれ)

可憐な花がそよそよと風に揺れる姿もまた可愛らしい。
都忘れの別名は「野春菊」(のしゅんぎく)、「東菊」(あずまぎく)です。
「この花を見ていると都を忘れられる」
鎌倉時代、承久の乱で敗れ佐渡に流刑となった順徳天皇のお心を慰めた花です。
取り合わせに良い花の一例として、
- 下野(しもつけ)
- 姫百合(ひめゆり)
- 烏野豌豆(からすのえんどう)
花入として
- 三友籠
- 桂籠
- 加茂川籠
などがあります。
二輪草(にりんそう)
こちらは生徒さまから分けていただいた二輪草です。
白い可憐な花には清浄感があり、この一輪でもハッと目をひき、
- 竹置筒
などに入れても良さそうです。
取り合わせに良い花として、
- 花筏(はないかだ)
- 梅空木(うめうつぎ)
花入として
- 備前耳付
などもあります。
鳥足升麻(とりあししょうま)

取り合わせに良い花として、
- 露草(つゆくさ)
- 縞葦(しまあし)
- 鉄仙(てっせん)
花入の一例として
- 桂籠
などがあります。
熊谷草(くまがいそう)
2024年5月撮影。降幡宗惠クラスのお弟子さんがお持ちくださいました(ご自身で育てられています)。
熊谷草は山野に咲く気高く高貴な花です。
異名として
「布袋草」(ほていそう)
「母衣掛草」(ほろかけそう)
もありますが、薄暗い山野に佇む姿はまるで布袋様のようにも見えます。
山紫陽花(やまあじさい)

こちらの山紫陽花も生徒さまから分けていただいたものです。
額紫陽花(がくあじさい)と似ていますが、額紫陽花の葉は光沢のあるのに対して、山紫陽花の葉が光沢がなく、厚さも薄めです。
取り合わせに良い花の一例として、
- 岡虎の尾(おかとらのお)
- 縞葦(しまあし)
花入として
- 末広籠
などがあります。
山紫陽花を有馬籠に入れて…
もうすぐ雨が降ってきそう…という日に時雨傘花入。梅雨入りはもうすぐ。
また6月になりましたらお花を掲載していきたいと思います。
本日もお読み下さり有難うございました。
宗洋拝
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↓座右の書のようになっている『茶花大事典』です。
そのお花の取り合わせにふさわしい他の花や花入も掲載されています。
私は東京では旧版の『原色茶花大事典』、横浜には『新版 茶花大事典』を置いて、気になったお花があればなるべくすぐに確認するようにしております。
お花が好きな方にはとても楽しい事典だと思いますので、ご紹介させていただきます。
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B5版・上下巻2冊セット
(上巻カラー632ページ・下巻カラー624ページ)
2014年に発行された新版の茶花事典です。掲載されている茶花は約1800種。上巻(1月〜6月)と下巻(7月〜12月)に分かれているボリュームある事典ですが、
1つ1つの花の項目に取合せにおすすめの花や花入が記載されていたり、巻末に「似た花の見分け方」などがまとめられており、かゆい所に手が届く心にくい事典となっています。
巻末に「茶花の心得」として花入や薄板、水揚げの方法、掛物と花入を置く位置など茶花に関する知識もまとめられています。
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・お稽古場をもっていて毎月の茶花に困っている方