古川宗洋
今日8月6日は平和記念日です。
この日の誕生花の一つに朝顔があるそうです。
朝顔の花が咲いていると心が明るくなりませんか。
この世界に生きるお一人一人の笑顔が朝顔のように咲き開くことを願ってやみません。
さて、夏になるとお稽古場にも様々な朝顔が登場します。お道具だったりお菓子だったり。
本日はそんな茶席の朝顔たちを紹介していきます。
朝顔の蓋置
「蓋置」とは「蓋」を「置く」ための茶道具。何の蓋を置くのかというと、釜の蓋を置きます。
茶席に持ち込まれる時には建水に隠れ
蓋が置かれてしまえば見えなくなってしまう。そんな縁の下の力持ちです。
炉の時季は方向としてお客様の方に置かれますが、風炉の時季にはお客様から遠い場所に置かれるので、最初から最後までチラッとしか見えないこともあります。
だからこそでしょうか。見えたときの喜びはひとしおです。
茶事では蓋置の拝見所望をすることもできます。
あまり目立たないお道具ですが、だからこそ自分の好みや美意識を反映させるお茶人も多いのだと思います。
朝顔のお棗

釣瓶(つるべ)に朝顔が描かれています。
釣瓶はもともと井戸の水をくむための桶ですが、面白い俳句が残っています。
「朝顔に釣瓶とられてもらい水」
加賀千代女(かがのちよじょ)という 江戸時代の人が詠んだ句です。
釣瓶にからんだ朝顔が美しくて取るのも可哀想。水を汲むのはやめにしてお隣に水をもらいに行きました。
という意味。
釣瓶は今では「名水点の点前をするのに必要な釣瓶」くらいの認識ですが
この句を読むと釣瓶が人々の日常と共にあったことがよく分かります。
そして、奈良時代に遣唐使によってもたらされ薬草として栽培されていた朝顔が、江戸時代になると品種改良もされて鑑賞用として人気だったというのも納得できます。
名水点
濃茶を練る「名水点」(めいすいだて)のお点前ですが、釣瓶はしめ縄と幣(ぬさ)をとれば通常の点前の水指としても使えます。
柄杓と蓋置を荘っていったところ
朝顔のお菓子

写真は当方のお稽古場 「東京中野千秋庵」の夏のお稽古でのお干菓子。
お稽古のお菓子は
茶の湯菓子専門 吉祥寺 亀屋萬年堂 さま
にお届けいただいております。
寒氷(かんごおり)の朝顔に、洲浜の朝顔の葉。
涼しげな姿と夏休みを感じさせる楽しさがあります。
朝顔のお茶碗

今年は8月7日に立秋を迎えますがまだまだ暑さは続きそうです。
しばらくはこのような平茶碗が活躍しますね。
朝顔は夏の朝に毎日規則正しく咲きます。
日本の朝顔は英語では
“Japanese morning glory”
というそうです。
朝顔の季語はもともと秋。
立秋を迎え、夏から秋への季節の変わり目。
朝に必ずいただく飲み物をコーヒーからお抹茶に変えてみてはいかがでしょうか。
少しだけ姿勢を正して、感謝していただく。
そんな朝を過ごしていると朝顔のように心も身体も開いていき、調子の良い一日を送ることができるかもしれません。
ぜひお試しください。