東京中野千秋庵

令和3年10月お稽古日誌 | 名残りの季節の中置五行棚(裏千家茶道教室東京中野千秋庵)

茶道 茶室 床の間

令和3年10月お稽古日誌 | 名残りの季節の中置五行棚(裏千家茶道教室東京中野千秋庵)

裏千家茶道準教授
古川宗洋
裏千家茶道準教授
古川宗洋
ごきげん宜しうございます。本日もお越しくださり有難うございます。

10月のお稽古が始まりました。

秋晴れの爽やかなお天気が続き、お茶をするのにもとても良い季節ですね。

緊急事態宣言が明けたこともあり、当方のお稽古場でも以前のようにお着物で来られる方も少しずつ増えてきています。

茶道 茶室 換気
今週も換気をよくしてお弟子さん方をお迎えしました。

今週の掛け軸

茶道 茶室 床の間

何と読むのでしょうか〜?

皆さん首をひねります。

「悠々任去来」
(ゆうゆうきょらいにまかす)

は読めますね。

読み上げはお稽古場に直接お越しになられる方への特権ということで・・・

失礼致します。

茶道 茶花 秋明菊

お花は庭の秋明菊に杜鵑(ほととぎす)。
秋明菊の可憐な姿には本当に癒されますね。

花入は砧形(きぬたがた)の信楽です。

名残りの季節です

名残の季節。
風炉の半年間で慣れ親しんできたお道具たちにそろそろお別れをいう時期でもあります。

なかなかお別れを言うことができないお道具たちも登場したりします。

茶道 茶入 金継ぎ

こちらの茶入は当方で粗相をして落としてしまい…
その後お弟子さんが割ってしまい…
当お稽古場の歴史とも言うべき茶入。

そんな事二度とあってほしくないし、
なぜこの茶入だけ?という疑問も残るのですが、この時季に登場する我が家の名物茶入になってきました。

中置 五行棚

裏千家 茶道 五行棚

10月は暦の上では晩秋。

今でこそまだ30度近くまで気温が上がることもありますが、それでも少しずつ肌寒くも感じられてきます。

中置は「火」をお客様の方に近づけ、逆に水はお客様から遠い勝手付に置く。
そんなおもてなしのしつらえです。

今週は11代お家元・玄々斎精中さま御好みの五行棚を。

古代中国の陰陽五行の考え方が取り入れられ、

天板の「天」と
地板の「地」の中に

「木火土金水」
(もっかどごんすい)

の五行がおさまっているとされています。

「木」:棚、柱
「火」:火
「土」:土風炉
「金」:釜
「水」:湯

とても堂々とした棚で、どっしりとした気持ちにさせてくれます。

取り合わせのお勉強も大事にしています

茶道 中置 細水指

ずらりと並んだ細水指。
こちらはお稽古前の準備中の写真です。

お弟子さんにはお道具の取り合わせの勉強を多くしていただきたいと思っています。

そんな風に考えていたら、だんだんと細水指も増えてきました。

今週は大きな地震がありましたね。
こちらの写真をSNSに投稿しておりましたので、ご心配をおかけしてしまいました。

おかげさまにて当方は人もお道具も無事。

ただ、お稽古が連日続いたので、夜は細水指を広い畳の上に等間隔に置いて、たとえ倒れても傷がつかないようにして備えていました。

まだ1週間くらいは余震に注意した方が良いとか・・・

皆さまもどうぞお気をつけ下さいますように。

歴代お家元茶杓

お稽古では「歴代お家元茶杓」というものをよく使っています。

歴代のお家元の御好みの形が再現され、茶杓の裏にはお名前が記してあります。

茶道 茶杓 歴代お家元
*お稽古前に清めた畳の上に並べました。

茶道 茶杓 歴代お家元

こちらは13代圓能斎鉄中(えんのうさい てっちゅう)さま

歴代のお家元のお名前やご功績を覚えるとともに、茶杓の形や見どころも学べるという優れものです。

この歴代お家元茶杓はお稽古の度に入れ替えています。

今週は下記の3本のお家元茶杓を出していました。

7代 最々斎竺叟宗室さま
(さいさいさい ちくそう)
1709年(宝永6年)〜
1733年(享保18年)
享年25歳

8代 又玄斎一燈宗室さま
(ゆうげんさい いっとう)
1719年(享保4年)〜
1771年(明和8年)
享年53歳

9代 不見斎石翁宗室さま
(ふけんさい せきおう)
1746年(延享3年)〜
1801年(享和元年)
享年56歳

ここでは簡単な解説を。

7代最々斎竺叟宗室さまと8代又玄斎一燈宗室さまは共に、表千家6代お家元覚々斎(かくかくさい)の御子息です。養子として裏千家に迎えられました。

8代又玄斎一燈宗室さまは兄である表千家7代如心斎さまとともに、七事式を制定しました。そのおかげで私たちは今も修練することができています。

9代不見斎石翁宗室さまは8代又玄斎一燈宗室さまの御子息で、利休二百回忌を営んでいます。

秋のお菓子

今週もお菓子は茶の湯菓子専門 吉祥寺の亀屋萬年堂さまからお届けいただきました。

茶道 和菓子 主菓子
「秋のみのり」

浮島の優しい味と色。
気温が下がってきてうら寂しく感じるようになってくる中での実りには喜びがあります。
そんな静かな楽しみを感じさせてくれるお菓子です。

その他お干菓子も引き続き個包装でお届けいただいております。

お菓子を干菓子器に多めに盛って・・・という当たり前にできていたことがなかなか戻ってきませんが、良いこともあります。

個包装のままご自宅にお持ち帰りになり、きちんと器に盛ってご家族にお茶を点てて差し上げる。

お弟子さんもそんな時間をもつ機会が増えたそうです。

茶道 お菓子 干菓子

工夫して色々していく中で、お茶やお菓子の良さが広がっていく。
嬉しいことだと思います。

古川宗洋
古川宗洋
本日もお読みくださり有難うございました。朝晩はだいぶ気温も下がっておりますね。
皆さまどうぞお大事にお過ごし下さいますように。