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【夏の特別講習会】北大路魯山人ゆかりの登り窯「鎌倉其中窯」で作陶体験(河村喜史先生ご指導)

今夏も北大路魯山人ゆかりの登り窯
「鎌倉其中窯」さまにお邪魔し、
河村喜史 先生のご指導のもと、作陶をさせていただく機会に恵まれました。

裏千家茶道
準教授
古川宗洋
裏千家茶道
準教授
古川宗洋
ご機嫌宜しゅうございます。本日もお越しいただきまして有難うございます。今夏も弟子や茶友と共に、真剣にそして楽しく茶の作陶に向き合ってまいりました。

ご面識のない方の突然の
其中窯さまへのご訪問はご迷惑となります。どうかご遠慮ください。

鎌倉其中窯とは

「其中窯」さまは北鎌倉にあります。
谷戸の静かな環境に、北大路魯山人ゆかりの登り窯をもち、現在は
河村喜史(きふみ)先生が作陶をされております。

喜史先生のお祖父様
河村喜太郎 先生は京都で作陶をされておられましたが、自らの土と窯を求め
愛知県猿投に陶房を移されます。

その後
臨済宗大徳寺 立花大亀 御老師のご縁もあり
北鎌倉の北大路魯山人の陶房跡を復興されます。

「其中窯」というお名前も大亀老師が命名されたものです。

お父上の又次郎様、そして
河村喜史先生 と窯が受け継がれていきます。

大らかでぬくもりがあり、それでいて繊細さも感じられる作品を作り続けておられ、
高島屋や三越などで個展をされておられます。

北鎌倉 其中窯 河村喜史

北鎌倉の谷戸に佇む北大路魯山人ゆかりの登り窯

北鎌倉 其中窯 河村喜史(2022年8月撮影)

北鎌倉の谷戸の中に静かに、そして力強く佇む登り窯。迫力があります。

北鎌倉 其中窯 河村喜史(2022年8月撮影)

北鎌倉 其中窯 河村喜史(2022年8月撮影)

茶の趣がある工房とは自然のトンネルでつながっています。

北鎌倉 其中窯 河村喜史

(2022年10月撮影)

河村喜史先生のお話

北鎌倉 其中窯 河村喜史

まずは工房にて大亀老師がお越しになった際によく寝泊まりされておられたという茶室を拝見しながら、お話を伺います。

河村喜史先生のお話はいつも楽しく、初めての作陶で来られた方の緊張も解けていきます。

床には大亀老師のお軸「瀧」。
北鎌倉の楚々とした花に、花入はもちろん
喜史先生の作品。

この日も蒸し暑い日でしたが、喜史先生や又次郎先生の作品で干菓子や冷たいお茶もいただき、無風状態の東京横浜から集った我々参加者の身体を心地よくして下さいました。

いよいよ作陶開始

エプロンをして工房へ。いよいよ作陶開始です。

まずは先生から土からどのように形作るか説明がございます。

北鎌倉 其中窯 河村喜史みんな真剣

先生の鮮やかな手つきを尊敬の眼差しで拝見しながら、「自分もこれをやるのだ!」とひそかに自身を鼓舞してまいります。

まずは底の土台作り。

北鎌倉 其中窯 恵み茶会

それから、各人

・お茶碗(貴人茶碗を想定してという方もおられました)
・お皿
・建水
・香合
・水指

など思い思いに作陶していきます。

最初はお話しながら和気あいあいとしておりますが、段々と静かになって、皆さんモクモクと作陶に打ち込みます。

北鎌倉 其中窯 河村喜史

その合間にも、北鎌倉の美しい鳥の声が聞こえてきます。

素晴らしい環境での作陶です。

作品にはその方のお人柄が自然と出てくるようで、作陶って面白いと改めて感じました。

北鎌倉 其中窯 恵み茶会仕上がった作品たち

3回目の其中窯での作陶 | 今年は水指に挑戦

ちなみに今回で3回目の作陶となります古川は「水指」に挑戦。

行台子に用いることができるようなスッキリとした一重口の水指を目指して、徳を積むがごとく、土を積んでいきます(翌日 筋肉痛になりました)。
古川宗洋 陶芸 其中窯

事前に東京国立博物館はじめ重要文化財の一重口の水指の寸法をチェック。
窯に入れた時の収縮率も計算して、塗蓋の寸法も考慮に入れつつ、目標を定めておりました。

北鎌倉 其中窯 恵み茶会

東京中野千秋庵のお稽古で用いたい。

裏千家茶道
準教授
古川宗洋
裏千家茶道
準教授
古川宗洋
実は前回お弟子さんが水指に挑戦していました。見事な作品だったので私も触発され、ひそかにチャレンジしようと思っておりました。感謝です。

残念ながら本体で時間切れ。共蓋は喜史先生が作って下さいました!なんと有難いことでしょうか!

古川宗洋 陶芸 其中窯

蓋の摘み(つまみ)の形状についても先生とお話できました。

古川宗洋 陶芸 其中窯 古川宗洋 陶芸 其中窯
裏千家茶道
準教授
古川宗洋
裏千家茶道
準教授
古川宗洋
喜史先生曰く、あまり計算がかった方法は得策ではないとも…インスピレーションも大事。

前回は、あまりに思いつくまま自由に作陶してしまった反省もあり…

今回は、ひとまず自分の計算通りに行くか行かないかも実験してみたくなったのでした。次回は、どのようにしようかしら。

北鎌倉 其中窯 恵み茶会先生が最終的な仕上げをして下さいました。摘みの形状が素敵です。

作陶を終えて北大路魯山人ゆかりの登り窯も見学

作陶を終えたあとは
奥様の河村宗加先生(裏千家)のお手作りのお菓子で薄茶をいただきました。

奥様の河村宗加先生お手作りのお菓子

喜史先生はじめ、又次郎さま、喜太郎さまのお茶碗でいただく贅沢。
同じ土、同じ窯でありながら多彩な表情。
身体を動かした後の美味しいお茶の有難さが身にしみます。

3畳の茶室にも入らせていただき、安田靱彦先生の絵も拝見させていただく事ができました。

そして登り窯の見学へ。

北鎌倉 其中窯

今秋の窯焚きで今日の作品も一緒に入れていただきます。とても贅沢な事です。

北鎌倉 其中窯

(2022年11月撮影)

作陶のあとは
河村先生ご夫妻を囲んで
由比ヶ浜の大人の海の家にて懇親会。

楽しすぎる夏の終わりの一日でございました。

心より感謝申し上げます。

プライベートな作陶会となります。
ご面識のない方の突然の
其中窯さまへのご訪問はご迷惑となります。どうかご遠慮ください。

お茶はお茶だけで終わらない

お茶は日本文化の総合芸術と言われるほど間口が広く、関わる領域も多くあります。

普段のお稽古だけでも、茶室という建築、露地の造園、床の軸(書)、花、
席中にあるあらゆる美術工芸品、お香、料理、お菓子など…

ぼーっとしていると見逃してしまうかもしれない事も、自分の足で運び、手でふれてみると輪郭がはっきりとしてきます。するとまたお茶の見え方、感じ方も深まっていきます。

その過程の中で、作家の方やご一緒した先生方ともお話させていただき、その立居振舞いやお考えを学ばせていただく事ともなります。

結果、お茶を通じて豊かな人生が広がっていくとも思うのです。

今後も恵み茶会の皆さまとこのような機会をもたせていただく事ができればと思っております。

裏千家茶道
準教授
古川宗洋
裏千家茶道
準教授
古川宗洋
お茶だけでなくお茶の周辺の様々な体験を楽しんでいただき、お茶の深みはもちろん皆様の生活や人生のうるおいにつながるような「大人の学び」をご一緒できましたら幸いです。