東京中野千秋庵5月後半のお稽古にドイツ人の宣教師Kさんが久々にお越しになりました。
2011年の東日本大震災、日本のため特に福島の支援のために遠く海外からお越しになられた女性の宣教師さんです(牧師さんでもあられます)。
和やかに再開を喜ぶ日となりました。
日本にいながら海外の方とお茶を共にする、茶道について教えるという体験は得難いものです。
貴重な経験そして温かい文化交流をさせていただき感謝しております。
茶道を通じての文化交流 | きっかけ
日本に滞在している世界中の女性牧師さんや宣教師さんが集まる修養会で、コーヒータイムの時間に茶箱でお茶を点てさせていただくという機会がありました。
山奥ゆえ荷物もあまり持って行くこともできずお道具は茶箱だけ。
修養会の宿舎のテーブルで山荘からポットをお借りしてのお点前で即席のお茶席でした。
その時にお茶を召し上がってくださり茶道にすっかり魅せられて・・・
海外でも抹茶が人気ですが、Kさんはただ抹茶を点てる・飲むだけではなく真剣に茶道を学びたいということでした。
帰国されるまで1年と少しそれは一生懸命お稽古に励んでおられました。
↑大炉・筒茶碗でお茶を点てるときのご様子
ドイツを含むヨーロッパは当たり前ですが椅子に座る文化の国です。
お稽古の始めこちらも気にして椅子を用意していました。
彼女は過去に足首を怪我したことがあるということでやはり椅子の使用はやむを得ずというところでしたが、
・点前のとき
・お菓子・お抹茶をいただくとき
・問答をするとき
必ず正座をしました。
点前の時などは見ているこちら側が「もういいですよ、十分ですよ」と思うほどにお辛そうな時もありましたが、絶対にあきらめない。
そして質問がとても明確。しっかり納得して次は間違えない。
お稽古をご一緒にした日本の方もその姿勢には感銘を受けていました。
ちなみに私は茶道についてドイツ語に翻訳することはできないので、毎回英語でご説明申し上げていました。
茶事にも初釜にも参加。初釜では東京中野千秋庵恒例の員茶(かずちゃ)にも参加。皆さんの前で薄茶も点てました。
(夕去りの茶事で床を拝見。この時はまだお洋服)
↑初釜 員茶にて薄茶を点てるときのご様子
着物は世界中のあらゆる年代の女性を美しく見せる
初釜のこのお着物、借り物ではありません。
「着物は世界中のあらゆる年代の女性を美しく見せる!」とKさん自ら着物や帯も誂えました。
その選び方ですがとてもお勉強になりました。
ヨーロッパの人らしく「自分の肌の色、目の色、髪の色にとってベストな色は何か」が分かるパーソナルカラーパレットをもっています。
カラーパレット(イメージです)
喜びの時の色、悲しみの時の色など場面ごとに一番自分に似合う色があるのだそうです。
そのパーソナルカラーを元に着物の色を選んでいきます。
柄や帯は季節が制限されないようなものをセレクト。ドイツの方らしく合理的に選んでいきます。
ご本人が映える本当に美しい、そして茶席にふさわしい着物を選ばれたと思います。
呉服屋さんのご主人も「本当に美意識がしっかりしておられますね」と仰っていました。
ちなみにご紹介させていただいた呉服屋さんは裏千家茶道ともご縁が深く、茶席の着物のあれこれを色々と教えて下さいます。
ドイツに帰国するまで、お着物の手入れの仕方、たたみ方などもご家族で熱心にご指導くださり、Kさんもご紹介した私も深く感謝申し上げおります。
茶道を通じてグローバルにつながる
宣教師さんというご職業柄、お稽古を終わって帰る時には私を含む千秋庵に集う人々、両親、家族のことを短く祝福して下さいました。
毎回祝福されるお稽古場。
なかなかないです。本当に有難いことだと思います。
そして母・東京中野千秋庵庵主の降幡宗惠がお誕生日だと聞いたときには、ドイツ語でそれは美しい歌声を披露してくださいました。
牧師さんや宣教師さんというのは「神様から遣わされる地へ赴く」ということで勤務地が一定ではないそうです。
有名なマザーテレサも現在のマケドニアで生まれ、インドに「遣わされた」という表現をなさっています。
Kさんのドイツでの新赴任地は残念ながら裏千家支部からは遠く・・・帰国されてからはお稽古を続けることができなかったのですが、
お客の作法もきちんと覚えていて下さいました。そしてやはり熱心に茶杓の御名などを質問されます。
濃茶と薄茶をお召し上がりになりドイツのお土産を置いて千秋庵を後にされました。
茶道 床の拝見からのインスピレーション
Kさんが再庵した日の床。
芍薬の花のイメージはペンテコステだそうです。
ペンテコステ Pentecost とは
イエス・キリスト復活・昇天の後、信徒の1人1人に炎のようなものがとどまり、一同が聖霊によって満たされる。教会の始まりとされる(新約聖書使徒言行録2章)。
日日是好日
英語に直訳すれば”Every day is a good day.” でしょうか。
けれど私は宣教師のKさんにこうご説明申し上げました。
“Every moment is the gift from God.”
良いと思うときも悪いと思うときも全ての瞬間が神様からのギフト。
茶席の中でも日常でもこのように生きていけたらと思います。
今度は私がKさんの赴任地へ茶箱でも持って出かけて行きたいです。
Kさんとまたお茶を共にできる日を心待ちにしております。
古川宗洋 拝
Danke sehr✨
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