茶道美術図書専門の淡交社さんからの新刊出版。記念のお茶会ということで著書の小澤宗誠先生のご自宅へ伺ってきました。
↓こちらの本です↓
『ビフォー・アフターでわかる 初心者のための茶花の入れ方』(小澤宗誠著/ 淡交社)
茶花の出版記念ですからお花ももちろん楽しみに伺ったのですが、ほかにも素敵な出会いがありました。
お茶会は
・ふだん茶道にふれていない方にとっては「お茶会ってお抹茶いただくだけでしょ?」
・茶道初心者の方にとっては「お茶会では作法通りお抹茶いただくだけで精一杯だよ」
となかなかハードルが高いかもしれません。
しかしお茶席は楽しいことだらけ。そして驚きもあります。まるで旅をしているかのような感覚です。
そんな体験を1つお伝えさせていただきます。
一期一会 | 人とも物とも。2000年前のお道具って?
小澤宗誠先生はよくNHK大河ドラマなどで茶道監修をされている方としても有名ですが、実は中国の陶磁器にもとてもお詳しい方です。
新婚旅行先も中国だったとか。もちろん陶磁器を研究されるため?(いえ新婚旅行ですね!)
中国陶磁器ツアーも毎年主宰されています。
茶花の書籍出版記念なのでお花も楽しみなのですが、よく濃茶席でお披露目される中国の陶磁器も楽しみの1つです。
(小澤宗誠先生と作陶家の川瀬忍さん なごみ2018年5月号より)
待合にて仲の良い方が多いのでついハシャギ気味になってしまいますが・・・
落ち着いてまずは濃茶席。
濃茶席のお花は九蓋草(くがいそう)と突抜忍冬(つきぬきにんどう)。水鶏笛(くいなぶえ)の竹の花入にスッキリと入っています。
そして床の前でジーっと見てしまうのが不思議な香合。一見、鉄のようにも見えます。
後の拝見にて手にとらせていただくと・・・
軽い!!
木地の合子(ごうす)なんだそうです。鉄のようにも見えるけど表面の光沢は漆。少し光沢がなくなった漆が鉄のようにも見えます。
中国「漢」の時代。「前漢」「後漢」合わせて紀元前後400年くらいの開きがありますが、それくらいの時代のもの。
ざっくり2000年前くらいのものを手に触れさせていただいたことになります。
何かの入れ物に使われていたであろうということですが、物自体残っているところがすごい。はげない漆もすごい。
お茶をさせていただいていると、人との関係においていつも「今日この場所であなたとお茶を共にできて幸せ」という感謝の想いがあふれてきます。一期一会というものでしょうか。
と同時に物についても、約2000年前に作った人がいて、それを大切に使ってきた人がいて、一度埋もれたかもしれないけれど掘り出した人がいて、丁寧に洗われて、今日お茶会で香合として使った方がおられる!
作られた時にはどんな風に使われてたんだろう?何が入っていたんだろう?中国の漢の時代の人ってどんな生活をしていたんだろう?
日本の現代のある茶室にいながら、2000年前の中国の漢の時代の方とも繋がっているような、そんな感覚におちいります。
そしてそんな瞬間も今このときだけ。
これも一期一会じゃないかなと思ったり致します。
茶室にいながら時空を旅する。
そんなお道具に触らせていただき感謝です。
もちろん小澤先生の練るお濃茶はため息が出そうなほどに美味しく、お茶名を伺うと毎回「え?私も練ったことがあるお茶だけど、どうしてこんなに美味しいの?!」と思います。樂さんのお茶碗でいただきました。
茶花いろいろ花入もいろいろ
「初心者のための茶花の入れ方」という書籍の出版記念ということで、薄茶席は花寄せの趣向になっていて華やか。
砂張の釣花入に金閣寺古材の掛花入、斑唐津に、「欠けた耳を付け足してどちらが付け足しかもう分からない」という楽しい謎解きの残る花入、そして川瀬忍さんの白磁輪花花入。
それぞれに趣があるのですが、
私は白磁輪花花入にスッと入った三寸あやめの様子が特に好きでした。
お菓子やお抹茶は可愛らしいお姫様(お孫さん/幼稚園年長さん)が一生懸命お運びをして下さりまさお花。
お干菓子も「茶の湯菓子 吉祥寺 亀屋萬年堂」製の有平糖の可愛らしいお花たちが登場。
(濃茶席も亀屋萬年堂さま製の紫陽花でした)
後見が奥様の宗香先生であったこともあり、いつにもまして和やか女子会のような雰囲気。
楽しいなぁと時が過ぎていきます。
数茶碗は粟田焼
(写真は古川所蔵/今回のお茶会薄茶席の数茶碗と同じものです)
この平茶碗、古川も自宅で愛用させていただいておりますが、これからの季節お茶を点ててからお抹茶をいただくまでにちょうど程よい温度となっていてとてもいただきやすいです。
1つ1つのおもてなし | 点心
点心は湘南平塚 割烹竹万さま。
1枚1枚ご主人関口さま自ら手書きの水墨画。
そして小澤先生が1つ1つ選んだ酒器が出迎えてくれて女子たちの歓声が一段と華やか。
お品書き
中国陶磁器にお詳しい小澤宗誠先生のお席はいつもシックなイメージ。
今回のお茶会は可愛らしいお孫さん方も華を添えていつもより華やかに感じました。
そして陶磁器や中国の歴史についてももっとお勉強したくなりますね。もちろん茶花も。
和やかな時を過ごさせていただき感謝申し上げます。
茶道書籍のご紹介と関連サイトのご紹介
『ビフォー・アフターで分かる初心者のための茶花の入れ方』(小澤宗誠著 淡交社)
A5版横 オールカラー104ページ
・代表的な茶花
・花入の種類
・水揚げの方法 などの基礎的な知識から、
・真行草の入れ方
・廻り花之式・花寄之式でお稽古をしてみた
などを茶花初心者の生徒と先生の手直しというビフォー・アフター形式で学ぶ実践的な書籍です。
今までは眺めるだけだった茶花を身近に感じてどんどん自分でも入れたくなるような茶道初心者にもオススメの本です。
A5版横の手に取りやすいサイズ。
淡交社出版の雑誌『なごみ』は茶道雑誌ですが、編集のタッチがおしゃれで茶道にまつわる文化やエピソードを
楽しく、やさしく、まあるく伝えてくれる読みやすい雑誌です。
5月号の茶道らしい特集は中国陶磁。小澤宗誠先生の中国陶磁器ツアーの様子も掲載されています。茶道らしくない特集は俳優・石丸幹二さんのインタビュー。他にもV6長野さんの懐石修行ページもあります。
茶道初心者はもちろん茶道をされていない方にもオススメの雑誌です。
誠之会(小澤宗誠先生)
http://seishian.com/
湘南平塚 割烹竹万
http://takeman.co.jp/
茶の湯菓子 吉祥寺 亀屋萬年堂
http://kameyamannendo.co.jp/
粟田焼窯元 鍵屋 安田浩人
http://www.awatayaki.com/
川瀬忍の世界 果てしなき土との対話
http://www.shinobu-kawase.com/
茶道美術図書出版 淡交社
https://www.tankosha.co.jp/