本日もお越しいただきまして有難うございます。
「お茶を始めて日常生活に変化があったこと」として挙げられる事が多いのが、
道で歩いていても、一輪の花に目をとめるようになった
事だと思います。
人目を強くひくような華やかな花ばかりでなく、道端に何気なく咲いているような花にも目がいくようになります。
そしてこの巣ごもり生活中は特に、下を向いていたり、いわゆる雑草と言われるものであったり、そんな控えめな一輪の花が心を和ませてくれるという声をよく聞きます。
例えば、
- 月見草(つきみそう)
- 下野(しもつけ)
- 二人静(ふたりしずか)
茶道講師の間でよく聞かれる「お花あるある話」として、「ご家族が茶花だと思わず、雑草だと思って取ってしまった」というのがあります。
それくらい控えめなお花も多いですね。
ところで、横浜の庭ではこの時期になると、蕺草(ドクダミ)が地面を覆うばかりの勢いになってきます。
一生懸命取ろうとしますが、いたちごっこです。
地面を覆うばかりの力強さ。あまりに勢いが強いものだから、憎たらしい気持ちになることもあります。家族にも不評です。
それでもいつも、その可憐な白い花に心ときめくのです。
別名「十薬」と言われるくらい薬効もあるから、そんなに嫌わなくても良いのかもしれません。
解熱の作用もあり、昔の方は乾燥して、煎じて呑んでいたとも言います。
今でも「どくだみ茶」というものを見かけますね。乾燥するとあの独特な青っぽい匂いも抑えられるとか・・・私はトライしたことはありません。
とにかくその可憐な姿にハッと気づかされる。
これは茶席で床(とこ)の花を見た時と同じ感動です。
蕺草(ドクダミ)については、うちでは茶席で入れた事がありませんが、
淡交社さまの『茶花大事典』には「宗全籠(そうぜんかご)」や「唐物籠(からものかご)」なども取り合わせに相応しい花入として出ておりました。
季節の花々と共にいつか控えめな主役としてこっそり入れてみたいものだなあ、あるいはいずれかの茶席でそんな姿と出会ってみたいものだなあと、秘かに思っています。
他にも、花入として「伊賀蹲(うずくまる)」や「備前徳利」も挙げられていました。
徳利といえば、「そろそろ冷酒もいいね」という季節になってきました。
普段使いの物ですが、ガラスの徳利だけは準備OKということで、食卓で生けてみました。
この記事で掲載している写真とは異なり、お茶室はうす暗いでしょう。そのなかで床で光る白い可憐な花。
日常⇆茶室 と創造の中だけでも行き来できること。
これも茶道を学んでいて楽しいことの一つかもしれません。
引き続きどうぞお大事にお過ごし下さいますように。
古川宗洋拝
↓座右の書のようになっている『茶花大事典』です。
そのお花の取り合わせにふさわしい他の花や花入も掲載されています。
お花が好きな方にはとても楽しい事典だと思いますので、ご紹介させていただきます。
『新版 茶花大事典』(塚本洋太郎 監修 淡交社)
B5版・上下巻2冊セット
(上巻カラー632ページ・下巻カラー624ページ)
2014年に発行された新版の茶花事典です。
掲載されている茶花は約1800種。上巻(1月〜6月)と下巻(7月〜12月)に分かれているボリュームある事典ですが、
1つ1つの花の項目に取合せにおすすめの花や花入が記載されていたり、巻末に「似た花の見分け方」などがまとめられており、かゆい所に手が届く心にくい事典となっています。
巻末に「茶花の心得」として花入や薄板、水揚げの方法、掛物と花入を置く位置など茶花に関する知識もまとめられています。
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・茶花の勉強を本格的にしたい方
・茶花が好きな方
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