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外出自粛の「巣ごもり生活」が続くなか、
・どうも良く眠れない・・・
・朝もスッキリしない・・・
という方もおられるかもしれません。
茶道には日常を静かに豊かに生きるヒントがたくさんあります。
こちらの記事では、巣ごもり生活を豊かに生きるおすすめのヒント5つを茶道から探してご紹介したいと思います。
この記事の目次
【姿勢を正してみる】茶道から学ぶ巣ごもり生活を豊かに生きるヒント①
茶道では「姿形美しく」というのがあります。
なんだ、外見ということ・・・?
という訳ではありません。まず形を作って、その中に心を入れていきます。
最初はよく分からなくても、繰り返していくうちに自然と真心のこもった心と身体が同時に動くようになっていきます。
やはり大事なのは姿勢です。
入門されてきて皆さん驚かれるのですが、茶道はただただ正座をしている訳ではありません。
正座をしているところからスッと立つ、スッとお辞儀をする。
立っているところから定位置でスッと座る。
このような動作は、背中を丸めて下半身に体重がのってしまっているようではできません。
- 腰骨を立てるイメージ
- 背筋を伸ばして
- あごは少し引きます。
丹田に力を入れて、重力は上半身にあるようなイメージです。
丹田に力を入れることによって、身体の位置が決まり、自然と心も静かに穏やかになってきます。
自然と無理のない呼吸となります。
下半身の自分の身体は大地と一体となっているようなイメージです。
日常生活では、パソコンに向かっている時も、
- 頭のてっぺんが1本の糸で天井から釣られており、
- 丹田を意識して
- 重力は上半身、椅子より上にある
- 両足は床ひいては大地にしっかり根付いている
というイメージで。
この難局にあたり、天台宗の僧侶の方からお励ましのお手紙を頂戴致しました。
それによれば、修行中は病気になったとしても結界を超えて通院をすることはできないそうです。当然ながら常に健康であることが求められます。
そのような生活の中で、心を身体を整える大切な行いが「座禅止観」(ざぜんしかん)だそうです。
姿勢を正していると自然と深くゆっくりした呼吸となり、脳もリフレッシュして集中力も増すそうです。
巣ごもり生活の今こそ取り入れたい習慣ですね。
【自分なりの儀式を定める】茶道から学ぶ巣ごもり生活を豊かに生きるヒント②
お茶碗は仁清写し「青楓に翡翠」
何となくスッキリしない朝も、
その日の気分に合わせたお茶碗やお気に入りの茶碗を選んで
- お茶碗を洗う
- お湯を注ぐ
- 茶筅通しをする
- 茶巾で拭く
- 茶筅を振る(=お抹茶を点てる)
この一連の所作の後に
- 感謝の気持ちを込めて押し戴く
- 正面を外す
- 背筋を伸ばして美しい姿勢でいただく
- きちん吸い切る
そして飲み終わった後はホッと一息ついてみる
ここで終わりにせずに
- お湯でいったん流す
- おしまいの茶筅通しをする
- (お茶碗が少し冷めるまで台所でできる事をやって)
- お茶碗を洗って
おしまい。
たった10分の儀式ですが、
🌸 心に広がる豊かな静けさ
🌸 頭もスッキリ
🌸 お片付けもきちんとできて
🌸 お茶碗と茶筅も長持ち
といった効用があります。
午前中の時間が嘘のように豊かに、そして仕事がはかどります。
自分なりの儀式を見つけると毎日の生活にリズムがつきますね。
朝にお抹茶を点てるというのは、あくまでも一つの例です。
普段お茶をされていない方も、何らかのご自分のやり方があると思います。
ぜひご自分のお作法でやってみてください。
【手紙やオンラインで人と交流してみる】茶道から学ぶ巣ごもり生活を豊かに生きるヒント③
特定警戒都道府県では現在も人との接触8割減を目指しています。
テレビで専門家の方が仰っていましたが、新型コロナウイルスは、
- 手を使う
- 会話をする
という人間が人間たる所以のようなところを突いてきたと言います。
今私たちは無力に近いかもしれませんが、そんなウイルスさんの抜け目ないところを逆について、こちらも進化する事ができます。
それが接触しなくてもできる人との交流です。
お手紙を書く
茶道をされている方ですと「お手紙は筆で書くもの」という暗黙の了解のようなものがあり、それが逆に手紙を書くことを躊躇させてしまうこともあるかもしれません。
私も小さい時から試みてはいるものの、一向に改善の余地がなく、手紙に躊躇してしまう人です。
しかし、たとえ筆でなくても手書きのお手紙には温かいぬくもりがあって、じんわり嬉しいものです。
文字や文面だけでなく、紙や封筒にもその方のお気持ちや想いが寄せてあるようで、宝物をいただいたような気持ちになります。
ちなみに、指先には神経が張りめぐされていて、鉛筆やペンを持って書いたことは脳に刺激を与えやすいそうです。そのような意味でも、大切なことは手で実際に書くと良いかもしれません。
私の場合は、何かを始めたくなったり、実現したい事がある時には、人知れず紙に書いて自分の脳に知らせるようにしています。
メールやメッセージを送る
現代ではメールやメッセージも当たり前。皆さんもほとんどがこのやり取りではないでしょうか。
ぐちゃぐちゃな自分のアイデアや気持ち、思考や出来事を相手に分かりやすくお伝えする。
これを「言語化」と言いますが、その過程には自分の考えや思いを整理する作用があるだけでなく、自分への癒しという意味もあります。
人と交流するつもりでお手紙やメールを書いていたら、実は自分と深く向き合っていた。そんな経験を思い出す方も多いかと思います。
お手紙ほどの力はなくても、自分のことを思っていてくれた、気にかけていてくれたというのが伝わってくるのは嬉しいものではないでしょうか。
ビデオ通話やテレビ会議に参加する
家族の元に帰る帰省を遠慮するように要請されている今。ご家族と直接会えない日々が続いているという方も多いと思います。
そんな時に力強い味方なのでが、SNS上のビデオ電話機能です。
- Line
など。
嬉しいのは「ビデオで顔を見られては困る」という時も無料で声だけで通話もできるところです。
さらにApple社製のiPhoneやiPad同士なら「Facetime」という機能でやはり無料で音声通話やビデオ通話をする事ができます。
テレビ会議では
- Skype
- Zoom
をお仕事で使っている方も多いと思います。
私は家族が海外に分散して住んでいることもあり、先日は「第1回 Zoom Family Meeting」がありました。
時差の関係もあるので事前にみんなで開始時間を決めておいて始めます。
あらかじめ分かっていても、つながってお互いの顔を見ながら声を聞くことができる喜びというのは想像以上に大きいものでした。
先日開催された茶道裏千家「みどり会」の皆様のオンラインお茶会もZoomを用いて行われていました。
オンライン上で一服リレー
茶道では「直心の交わり」という言葉がございます。
ご亭主が丹念に清められた露地。
心を込めて準備をされたご趣向。
熱すぎもせず冷めてもいない季節のお手作りの懐石。
主菓子をいただいた後は中立ちをして
厳粛な雰囲気の中でご亭主が練って下さったお濃茶を皆でいただく。
最後は和やかに心を込めて点てて下さった薄茶をいただいて。
清らかなお心のこもったおもてなしをこちらも清らかな心で受け、言葉で表現できないくらいの穏やかな気持ち、そして清々しさを感じます。
しかし、この「直心の交わり」の真意は相手に「心を寄せる」という事だそうです。
物理的に目の前にいなくても、遠くにいても、その方に心を寄せることはできますね。
お茶で物理的に集うことが叶わない状況の中でも、相手に心を寄せてお茶を点ててみる。お茶をいただいてみる。
Way of Grace 恵み茶会でも、そのような意味を込めてお抹茶のリレーをしています。
【新しいことを始めてみる】茶道から学ぶ巣ごもり生活を豊かに生きるヒント④
お知り合いで
「この外出自粛中にずっと放置していた楽器の練習を再開してみた」という方がおられます。
一人で練習していても挫折するかもしれないからと言って、1週間に1度くらいの割合で、成果をSNSで見せて下さいます。
最初は「本当にできるようになるのかな?」と家族も、そしておそらく友人達も思っていたと思います。
しかし今ではその進歩する姿に勇気をもらって「私も何か始めてみよう!」という雰囲気になっています。
またお茶人の友人は、「そういえば家の中では家族にお茶を点ててばかり。たまには人に点てていただいたお茶をいただきたいわ」ということで、ご主人様に特訓を開始。
こちらはとても上手な導き方で、巣ごもり生活が終わる頃には家族にもう1人のお茶人が誕生しそうな感じです。
巣篭もりの時期を後から振り返って
「大変だったけど、〇〇をやり遂げたなあ!」
というような何かができると、今は辛くても後から振り返ると良い思い出に変換する事ができるかもしれません。何かをやり直してみたり、新しいことを始めたり。
この機会に上級のお点前の復習をしてみる。ノートをまとめてみる。
普段、茶道とは無縁な方でしたら、お抹茶を点ててみるということでも良いかもしれません。
【無心に打ち込んでみる】茶道から学ぶ巣ごもり生活を豊かに生きるヒント⑤
そうは言っても動けないよ・・・やる気もおきないよ・・・
という方もおられるかもしれません。
そういう時もあります。
私の場合、そんな時は割稽古で帛紗捌き(ふくささばき)をしてみたり、庭の雑草取りをしてみます。
「雑草を取る」ということでも集中していると良いこともあって、
ふと顔を見上げれば、青葉や普段は気にも留めない草花の美しさにも気付くことができます。
不安や不満はたくさんある一方、小さな事でもできること、前に進めることはある。
無心に打ち込んでみると、新しい気づきもあるかもしれません。
まとめ
茶道から探る「巣ごもり生活を豊かに生きるヒント5つ」いかがでしたでしょうか。
- 姿勢を正してみる
- 自分なりの儀式を定める
- 手紙やオンラインで人と交流してみる
- 新しいことを始めてみる
- 何かに打ち込んでみる
緊急事態宣言の後でふとお稽古場をのぞいて見ると、軸が替えてありました。母がかえたようです。
「忍 一生の寳」
永平寺71世貫首 高階 瓏仙(たかしな ろうせん)禅師 筆
桜のつぼみが冬をじっと耐えて開花するように、エネルギーを内に溜めてじっと耐える。
充電にはならないかもしれないけれど、試練は耐えられる人にしか与えられないらしく、その辛い期間の後はいぶし銀の味わいのある人になるかもしれません。
戦中戦後を生きてきた母がこの軸をかけるとそんな気がしてきます。
市中で元気に暮らしている私たちにとっては「忍」(にん)。
しかし医療従事者の方々や天国に旅立たれたご家族を見送られた方々もおられます。
私や母も昨年から病んでいた大切な家族を年始に見送り、今年前半はひたすら「忍ぶ」で過ごして参りました。
命の重みにまさるものはありません。
この難局に最前線で医療や保健業務に従事されている方々や、私たちのライフラインを支えるために働いて下さっている方々がおられます。
その方々に感謝と敬意を表す意味でも、私たちにできることは、まず第一に心身共に健康で過ごすことかもしれません。
茶道から探る巣ごもり生活を心静かに豊かに生きるヒント。
この期間中をぜひ快適に健康に過ごしていただき、次の時代への活力を養っていただけたらと思います。
どうぞお身体をお大切に。
引き続き皆さまのご健康をお祈り申し上げます。
古川宗洋拝
「人との交流」の項目でもお話しましたが、
巣ごもり生活中は人と「話す」よりも、メールやSNS、ご自分のWebサイトなど「書く」作業の方が圧倒的に多くなります。
現代のSNSやウェブサイトの媒体に言葉をのせるには現代のお作法もあります。これもいかにお相手様に読みやすいか、という心遣いからくるものです。
新しい時代の一冊として、大人からお子さんにまで役に立ちそうな予感がしましたので、ご紹介させていただきます。
茶道とは離れた書籍ですが、皆様のお役に立てば幸いです。