Tea Column

【お茶会紀行】北鎌倉東慶寺さま甲辰歳最初の観音縁日月釜(裏千家縁りの茶室 寒雲亭)に伺って参りました

令和6年能登半島地震によりお亡くなりなった方のご冥福を心からお祈り申し上げると共に、ご遺族や被災された皆様に慎んでお見舞い申し上げます。

ごきげん宜しうございます。

北鎌倉、東慶寺さまの観音縁日月釜に伺って参りました。

東慶寺さまは臨済宗円覚寺派のお寺で、
江戸時代まで女性たちを保護した「縁切り寺」としても有名です。

観音縁日月釜は、
水月観音様の御開帳に合わせ毎月18日に、裏千家ゆかりの茶室「寒雲亭」(かううんてい)で行われています。

ご縁賜りまして、
一昨年、2022年(令和4年)の9月18日には、母・降幡宗惠とともに釜を掛けさせていただきました。

私にとりましては他所様で釜を懸けさせていただいた初陣でございました。

北鎌倉 東慶寺 月釜
茶会 | 北鎌倉東慶寺さま観音縁日月釜 裏千家ゆかりの茶室「寒雲亭」にて釜を懸けさせていただきました令和4年9月18日 北鎌倉東慶寺さま 観音縁日 月釜 裏千家ゆかりの茶室「寒雲亭」にて 東京中野千秋庵 裏千家正教授 降幡...

本年 甲辰歳最初の観音縁日月釜では、
有難いことに
御住職 御みずからお点前をして下さいました。

恐れ多いことに最終席のお正客を仰せつかり、有難く御住職のお茶をいただくことができました。

僧衣をお召しになっている御住職のお点前には、やはり自然と厳粛さが漂い、こちらも気が引き締まるような思いであります。

そんな中でも和やかにお話をして下さいながら、お茶を点てて下さいます。その御茶の美味しかったこと。

手にとる薄造りのお茶碗は、恐れ多くも
釈宗演 老師遺愛の朝鮮の古い時代のお茶盌ということでした。

茶室「寒雲亭」は向切の炉が切ってあることが特徴でありますが、こちら東慶寺様の寒雲亭には石炉の広間切もございます。

その目の前の石炉には、これまた
釈宗演 老師の筆が刻まれた、たっぷりとした風格のある釜が懸けられておりました。

床にも釈宗演 老師お筆の軸がございました。

そして利休居士の「端ノ坊」写しの二重切竹花入。
結び柳は表千家堀内家の仕方という事で、裏千家とは風情は異なりますが、まさに有難いお初釜の風情です。

点前座には釈宗演老師没後100年記念の際にお納めされた高麗卓(こうらいじょく)。
三千家で用いられる格式高い棚ですが、
鎌倉彫の三橋鎌幽氏が手がけられたこちらの卓は何ともいえない品の良い塗りでありました。

その他 お待合の前田青邨 氏の掛け物から始まり、尼僧ゆかりのお香合など、
東慶寺様ゆかりのお道具の数々に、鎌倉彫やオリエンタルなものも用いられた
東慶寺さまらしいご趣向。

禅や鎌倉の歴史の重みに感じ入ると共に、目を楽しませていただきました。

この日は暖かい日で、早くも梅の一部が花を咲かせてくれておりました。蝋梅(ろうばい)も見事でありました。

東慶寺様の境内は写真が禁止となっております。

ゆったりとした気持ちで、落ち着いて山の空気を感じることができるのは何とも有難いことです。

鳥の声や、花の蕾、優しい花の香…

ふと顔を上げれば、線路を挟んだ向かい側 円覚寺さまの弁天茶屋も見えます。

週末にかけて雨に向かうのか、茶席を後にする頃には湿気を帯びた空気に変わっている様子にも気づかされます。

境内にいるうちに五感が研ぎ澄まされていくようです。

茶室「寒雲亭」の中でお茶をいただいていると、鳥の音が聞こえてくる事もよくございます。

まさに本席の床にかけられていた
釈宗演 老師のお軸が深く心に染みるのでした。

「古松談般若 幽鳥弄眞如」

古松般若を談じ 幽鳥真如を弄す
(こしょうはんにゃをだんじ ゆうちょうしんにょをろうす)

こちら東慶寺様のお茶室で
御住職にご解説いただくと、なるほど自然の心理を説かれているようで、有難い気持ちになるのでした。

この日 ご住職は九席全部ご自身にてお点前をなされたとのこと。

そのご様子に、私も来年ぜひまた
御住職のお茶をいただきたい、本年も茶の道に精進しようと心新たに誓ったのでした。

ご住職、東慶寺の皆様、
ご一緒下さった皆様に感謝申し上げます。

Way of Grace 恵み茶会 主宰
裏千家茶道 準教授
古川宗洋 拝

北鎌倉 円覚寺線路をこえて向こう側に行きますと円覚寺さまとなります。

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