横浜山手町GREENHOUSE、令和元年6月第1回のお稽古日。
横浜山手町は隠れた紫陽花の名所で、
最寄駅の元町中華街駅からGREENHOUSEへの道は紫陽花を楽しむ道でもあります。
GREENHOUSEから歩いて徒歩2分「ベーリックホール」
みなとみらい線「元町中華街駅」屋上・アメリカ山公園には西洋の華やかな紫陽花が多く咲いています。
この記事の目次
茶道修行 | 湿気の強いなかでお棗にお抹茶を掃く
本格的な梅雨入りを前にした明るい日差しの1日でしたが、湿気が強くなっているのが感じられ、生徒さん方はお棗にお抹茶を掃く(はく)のに苦労していました。
横浜山手町GREENHOUSEでは、お水屋仕事でお抹茶をお棗に掃く際に、漏斗(ろうと)を使わず、裏千家今日庵や東京道場と同じように茶杓のみを使います。
朝顔蒔絵
戦前からある築100年を超える洋館であることも影響しているのか、GREENHOUSEは湿気がややある環境のように感じます。
もちろん冷暖房は完備しており、ドライ機能もあるのですが、それでも茶杓1本でお棗にお抹茶をきれいに掃くには厳しい環境かもしれません。
しかしGREENHOUSEに集われる皆さんは、その分本当に真剣に丁寧にお茶を掃いており、昨年の東京国立博物館でのお水屋でも大活躍でした。
真剣な分だけ初心者の方も随分と上達が早いように感じており、湿気の少ないお水屋で楽にお茶を掃くことに慣れている講師の方が頭が下がる思いです。
立礼棚(りゅうれいだな)の茶道教室だからこそ | お道具の楽しみ、それぞれのおもてなしに向けて
今回のお稽古は
- 裏千家第14代お家元・無限斎碩叟(むげんさい せきそう)御好み「御園棚」(みそのたな)
- 第15代・鵬雲斎(ほううんさい)大宗匠御好み「春秋棚」(しゅんしゅうだな)
に沿って薄茶のお稽古でした。
「御園棚」「春秋棚」はもちろんその名前の組み立て式の立礼棚(≒ 机・テーブルです)があり、それぞれに風情があって素晴らしい棚ですが、
例えば、ホテルのお呈茶などでは、趣向に合わせたテーブルを使って、「御園棚」「春秋棚」の「スタイル」でお客様をもてなしているのが見受けられます。
点茶盤と異なり、お道具は皆具(かいぐ)でなくても良く、
まずは
自分で集めたお道具で、お家にあるテーブルを使って、お客様をおもてなしする
ことが実現できてしまうお点前でもあります。
いきなり皆具を揃えよ、と言ってもハードルは高いですが、
*横浜山手町GREENHOUSEでは皆具を用いた点茶盤薄茶・濃茶のお稽古もしております。
今はお道具が揃っていない方も、いつかは「御園棚」「春秋棚」のスタイルでご自宅や何らかの会合でお茶でおもてなしをする事ができるように、
ご自分のトキメキに合うお道具を大切に一つずつ揃えていかれたら良いのではないかと思っております。
義山(ギヤマン)の蓋置
本物の貝を香合に見立てたもの。
夏。旅先で素敵なお道具に出会えると良いですね。
茶道のお茶碗の不思議
お茶碗は不思議です。
箱に入っている時はまるで眠っているかのよう。
箱から出して手に取ると、だんだんと目を覚ましていくように見えます。
この度のお稽古で用いたこちらのお茶碗。
越中三助焼。
艶のある緑釉。イギリスの陶芸家バーナード・リーチもこの奥深い色艶を楽しんだそうです。
お湯を入れると息を吹き返し、
お抹茶が入ってお客様のお手元に届く頃にはいきいきと輝いているかのようです。
お茶碗は生きているのね、
お茶のお茶碗はやはり使うのが良いのですね、
皆さんと交わすそんな会話もお稽古での楽しみの一つです。
英語でのおもてなし | 慣れてきたらお点前中の説明も英語で
この度のお稽古では、近隣のミッションスクールで英語を教えられているアメリカ人の先生もご参加されました。
旧外国人居留地という場所柄もあってか、GREENHOUSEにはさまざまな国の方、バックグラウンドをもたれる方が集います。
たまにお知り合いの方が飛び入りでお客様として参加されるので、
生徒さん方は「お客様の前でお茶を点てる」という場数も踏んでいきます。
点前も後半になり「お仕舞いにさせていただきます」の場面では、
海外のお客様に合わせ、
「では英語で言ってみましょうか」
となります。
“I close the Tea.”
これで一つ海外の方の前でもお点前する自信がつきました。
お越しいただきましたお客様、頑張ってお茶を点てられた生徒さんに感謝申し上げます。
自宅でのおもてなしに使える季節の和菓子
横浜山手町GREENHOUSEでは、生徒さんがご自宅でお客様を招いておもてなしをする時に「すぐに使えるアイデア」となるよう、
お菓子も季節にあわせて、生徒さんご自身がデパートなどで手に入れることのできやすいお菓子もご紹介しています。
令和元年6月第1回目のお稽古では、
- 主菓子 「稚鮎」(ちあゆ) たねや製
- 干菓子 「甘夏もち」 熱海・間瀬製
- 干菓子 「京ふうせん」末富製
のお菓子を楽しみました。
たねやさんの「稚鮎」。
鮎の下には自宅庭からとってきたミョウガの葉を敷いて。鮎籠に見立てて。
「甘夏もち」に練りこんであるのは柚子ではなく、甘夏。
口に入れると伊豆の青い海と真夏のコントラストが目に浮かび、近づいてくる夏への期待がふくらみます。
末富さんの「京ふうせん」は愛らしい色合いで、海外の方への手土産にも喜ばれる麩焼きです。
以前、横浜山手町GREENHOUSEでもインターナショナルスクールのプリスクールの児童たちに向けたTea Demonstration(実演)をした事があります。
こちらの「京ふうせん」の小さな麩焼きを手に取る子供たちの小さな手がとても可愛らしかったのを覚えています。
さてこれからいよいよ本格的な梅雨に入ります。
「鬱陶しい雨」ととらえるよりも「恵みの雨」と感じていく方が穏やかに気持ちよく過ごせそうです。
皆さまにとりましてお健やかな日々となりますように。
古川宗洋 拝
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