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茶道だけではない「日日是好日」の世界 | 『好日日記』をお稽古場(横浜・東京)の往復で読む

古川宗洋
古川宗洋
ごきげんよろしうございます。先日公開されました映画『日日是好日』。原作の続編となる『好日日記』を拝読させて頂きました。
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『好日日記』と仙厓和尚の筆「○△□」

横浜と東京の往復。

どこへ行くにも車を運転をしていた時期もありましたが、ある時からパッタリと運転をしない事に決めました。

「必要な時はカーシェアリングやレンタカーを利用すれば良いか」と思っていましたが、今や運転には本当に自信がありません。

日常生活には不便さはまったくありませんが、お茶会の時などお道具の運搬などでは周囲の方に助けていただいています。感謝申し上げます。

しかし運転をしなくなると移動の電車の時間は宝物の時間になりました。

仕事をしっかりしよう、という時にはmacbookを開いたり。着物でmacbookを開いている人は中々いないかもしれません。もし見かけたらそれは私です(笑。とにかく直通電車の1時間ははかどります。

何と言っても嬉しくトキメクのは本を手にできること。

皆さんもそうかもしれませんが、家では何やかんやとあり、1時間も座ってゆっくり読書をする時間はそうありません。

調べ物で本をたくさん広げている事はあっても、一冊の本を味わうように香りを楽しむように手に取って読んで行く時間は貴重です。

今日はそんなトキメク時間をこの『好日日記ー季節のように生きる』(森下典子さま著/パルコ出版)から与えていただきました。

森下典子さまのお師匠、武田先生と我が母が重なって、今お茶をさせていただいていること、実家というものがあること、実家のお稽古場に集って下さる社中の皆さんのこと、その皆さんや母とお茶を共にさせていただく「今、この時」の瞬間。横浜で拙い私に集って下さる皆さん、お茶の厳しさも楽しさも身をもって教えて下さる修行先での贅沢な時間。

いろんな事が思い返されて、思わずうるっとしてしまいます。

先日行ってきた出光美術館の『仙涯礼讃』展で拝見した「〇△□」のお軸。

ユーモアに富んだ禅画を描く仙厓老師は茶人でもありました。

出光美術館「仙厓礼賛」展で買い求めた扇)

茶道ではいつも〇を目指しつつも、△の自分も否定されない気がします。

○を目指して精進しつつも決して○に到達することはなく、常に△、進化しつつも△。

時に△の状態がとても苦しいのですが、

森下先生の『日日是好日』や『好日日記』は人生もそんな風でいいんじゃない?と仰って下さっているようで、とても軽やかな気持ちになります。

もしかして間違えることができるから、自由でいられるのかもしれない。

(引用:『好日日記』(森下典子さま著 / パルコ出版)より)

森下先生、素敵な時間を有難うございました。

古川宗洋拝

アットホームなお稽古場で

『好日日記』を読んでいると、実家の茶道教室東京中野千秋庵の様子がそのまま思われてふっと微笑んでしまいました。

森下典子先生のお師匠、武田先生のお宅でも毎年第2土曜日が初釜だそうです。
ご挨拶であり初稽古であるところも同じ。

初釜のお膳をいただくのも同じ
一人ひとりにお酒を注ぐのも同じ
先生自身が嶋台のお茶碗を使って濃茶をし、初お稽古でもあるから薄茶は全員点てるところも同じです。

東京中野千秋庵では七時式の一つ「員茶之式(かずちゃのしき)」の形式をとります)

※数年に1回、お勉強で外のお茶室をお借りして、茶道建築や懐石のお勉強を兼ねた初釜をする事もあります。

お茶会の形式で大人数の方が訪れるお初釜も魅力的ですし、

学生の頃は年明けの試験と重なるお手伝い(前日までの下働き、雑草取りなど肉体労働が多かった・・・今もですが)が辛くて「これだけ準備するのからもっと人を呼べばいいのに」なんて思ったりもしたのですが、

武田先生のところや東京中野千秋庵のようにアットホームなお稽古場だからこそゆったり過ごせる初釜もとても良いものです。しみじみ幸せな事だと思います。

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『好日日記』宝物の言葉たち

映画の原作『日日是好日』もそうですが、『好日日記』にもしみじみ共感できる言葉やハッと気づかされる言葉が多くあります。

お稽古場では「今、ココ」に集中

本当は誰もがそれぞれの胸の中で闘っているのだ。

(引用:『好日日記』(森下典子さま著 / パルコ出版)より)

茶道をしているというと、

・呑気でいいわね〜
・時間があるのね〜
・お金があるのね〜

という声が聞こえてきそうです。

余裕があるからしている、というイメージかもしれません。

でも本当はお稽古場に集って来られるお一人お一人に人生があり悩みがあり・・・そういったものを抱えながらも、お稽古では「今、ココ」に集中するのです。

それだからか、知らない方からすると一見呑気な主婦の集まりに見える町のお稽古場でも、愚痴をクドクドと言っているような方は少ないように思います。

また海外出張をバリバリこなしておられるキャリアウーマンの方も、勉強に忙しい大学生も、皆さん疲れている身体と上手に向き合いながらお稽古に集中しています。

毎回「寂」の精神を鍛える

今日は、今日の私で行くしかないのだ。

(引用:『好日日記』(森下典子さま著 / パルコ出版)より)

点前座に上がる時には緊張します。
役者さんが舞台に上がる時のようなものなのでしょうか?

緊張し高揚もありつつも、舞台に上がる。上がった途端、ふっと静かになる。

お点前の度に毎回毎回、度胸をつけています。

人生の悩みや生活のいろいろを抱えていても「今、ココ」この場にいる私でお茶させていただく。

お点前を間違えることもあると思います。

うまくお茶を点てる事ができなかった、(濃茶の)練り加減がイマイチだった、点前手順を間違えてしまった、などなど。

しかし「和敬清寂」のうちの「寂」です。

一回一回のお点前で「何があっても動じない心」を鍛えて行くしかないのだと思います。

古川宗洋
古川宗洋
調子に乗っている時こそ、信じられない間違いをしたり・・・私もつい先日「目の覚める」ような間違いをして、逆に人生が開かれた思いがしました。

思い巡らしながら道を進む

習っているのは、技術ではなく、道を進むことだ。

(引用:『好日日記』(森下典子さま著 / パルコ出版)より)

まったく進んでいないように見えて、でも時間だけは確実に進んでしまっているように感じる時があると思います。

特に何かにつまずいていたり、悩んでいたりする時には辛い事もあります。

お茶の道は長いです。私なんてまだほんのヒヨッコ。いや産まれてもないかも(=卵)と良く思います。

けれど(悩んでいるだけではなく)思いを巡らしながらも続けていけば、道は続いていくのではないかとも思います。道の先、どんな自分に出会っているのでしょうか。どんなお茶をしているのでしょうか。

『好日日記』にはまだまだご紹介したい素晴らしい言葉がたくさんあります。

ぜひ皆さんに『好日日記』を手に取っていただき、そこにあるリズムや言葉、読んでいてご自身のうちに湧き出てくる想いなどを感じていただきたいです。

ここでは私の勝手な感想を想いを述べさせていただきました。

大変失礼致しました。

古川宗洋拝

書籍『日日是好日』と続編『好日日記』のご紹介

『日日是好日ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』


『日日是好日〜「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(森下典子著・新潮文庫)
文庫サイズ、252ページ

エッセイストの森下典子さんがお茶を習い始めた20歳から25年間、毎回のお稽古やお茶を通じて気づいたことを茶の湯の四季と人生の四季と共に綴っていきます。

お茶って何?という方にとっては、お茶はセレモニーではなく、季節や人生と共に歩んで行くもの。そこにあるもの。そんな感覚が伝わってくるような1冊です。

読めば茶席での松風の音(釜から聴こえるお湯が沸く音)、お茶の匂い、薄茶やお菓子のお味わいが「今ここにある」ように伝わってきます。

お茶をされている方にとっては「お茶あるある」でフッと笑ってしまうこと、うなずくことしきりでしょう。「お茶をやっていて良かった」「そうだ、だから私はお茶をやっていたんだ」、師匠のことなどなど、改めて気づかされることが多いと思います。

解説は人間国宝・落語家の柳家小三治さん。これがまたとってもいいのです。

▼こんな方におすすめ▼
・お茶を習うってどんな感じ?
・お茶って何を学ぶの?
・お茶の世界、お茶のお稽古、お茶の良さについて人に知ってもらえたらと思っているお茶人

『好日日記ー季節のように生きる』


『好日日記〜季節のように生きる』(森下典子著・パルコ出版)
四六判、221ページ

『日日是好日』続編。お茶を始めて40年の著書森下典子(茶名 森下宗典)さまの瑞々しく心に響く文章が二十四節季に合わせて綴られます。

「お茶のお稽古の記録でもあり、季節のめぐりの記録」でもある(「あとがき」より)本書は、きっとあなたの人生やお茶の季節とも重なるところがあると思います。

平成30年10月13日に公開された映画『日日是好日』で初めてお茶にふれた方にもオススメの書籍です。

▼こんな方におすすめ▼
・お茶を習うってどんな感じ?
・お茶って何を学ぶの?
・お茶の世界、お茶のお稽古、お茶の良さについて人に知ってもらえたらと思っているお茶人

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映画『日日是好日』インフォメーション

映画『日日是好日』
平成30年10月13日公開
原作 森下典子
監督・脚本 大森立嗣
出演:黒木華、樹木希林、多部未華子
公式サイト:http://www.nichinichimovie.jp/

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真剣でありながらも笑顔が絶えないお稽古場。

裏千家茶道の本格的なお稽古場でありながら、家庭的で親しみやすい雰囲気のお教室です。

  • 落ち着いて茶道を学んでみたい。
  • しばらく茶道から遠ざかっていたけれど、また始めてみたい。
  • まったく無縁の世界だったけれど、日本の「お稽古ごと」を始めてみたい。

こんな方を大歓迎いたします。

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