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お茶をされている方にもそうでない方にもオススメ | 映画『日日是好日』が気付かせてくれる人生の意味と茶道の魅力

ごきげんよろしうございます。古川宗洋です。先日13日に公開されました映画『日日是好日』を観てきました。

※写真の掛け軸は天龍寺二百四十一世・関牧翁(せき ぼくおう)老師筆の書「日日是好日」です(平成28年1月 東京中野千秋庵にて撮影)。


(引用:映画『日日是好日』公式サイト

森下典子さま原作のエッセイ『日日是好日ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(新潮社刊)。もともと大好き、という方もおられるのではないでしょうか。

私もその一人です。自分でも折にふれて読み返しているのはもちろん、お茶のお稽古を始められて少し経った頃に生徒さんにお渡ししたり、お茶に興味を持たれた方にお渡ししたりしていました。

なんでお茶やっているの?

そんな風に人に聞かれた時に、ぜひオススメしたい映画です。

映画『日日是好日』
平成30年10月13日公開
原作 森下典子
監督・脚本 大森立嗣
出演:黒木華、樹木希林、多部未華子

茶道界はもちろん、先月15日に旅立たれました女優の樹木希林さんの遺作という事もあって、ご覧になった方、これからご覧になる方は多いと思います。

お茶をされている方はきっとご自分のお茶人生を、お茶をされていない方もご自分の人生で出会うさまざまな事を思い出し、気付く事が多い映画だと思います。

映画をご覧になって皆さんそれぞれお思いになる事、心にとめておきたい事があると思うのですが、ここでは私の場合を少しシェアさせていただきます。

お時間がある方はお立ち寄り頂けましたら幸いです。

茶道って「道」なのです

私にはイギリス人の大切な茶友がいます。

彼女が海外の方にお呈茶をする時、お茶の説明をする時、

彼女は ”Tea Ceremony” という言葉をあえて使わないようにしています。何と説明するかというと・・・

The Way of Tea”.

「だって私たちのしている事は『道』だから」

もちろん ”Tea Ceremony” もあります。お献茶式や茶事などはそう言っていいように感じます。

けれども

「私たちは毎日お茶をしている。もちろんセレモニーもあるけれど、何か人に見せるためにショーのようにやっている訳ではなくて、お茶は毎日の生活。人生と同じだもの」

そんな事をお茶室やお稽古場の外でお伝えするのが今まではとても難しく思っていました。

ところが『日日是好日』の原作エッセイはもちろん、映画はそれを分かりやすく、そして読む人観る人の心にしみるように伝えて下さっていると思います。


(平成30年7月 東京中野千秋庵にて撮影)

誰にでもお茶をお休みしたくなる時はある | 対処法3つ

映画では主人公である典子さんが何度か「お茶をやめようかな」と思う時もあります。

実は私にもあります。何度か、どころか何度もかもしれません。

そんな時の私の対処法は3つ。

  • この映画の原作『日日是好日ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』を手にとってみる。
  • イギリス人の茶友とお話する。
  • お稽古場でお茶をいただく。

対処法1:本や映画の『日日是好日』を手にとって・・・思い出させてくれること

主演の黒木華さんが初めての茶筅通し(ちゃせんとおし)を習うとき、目を寄せて「これ、何の意味があるんですか・・?!」と言うシーンがあります(予告動画にも出ています)。

私に最初にお茶の手ほどきをしてくれたのは母(裏千家直門正教授 東京中野千秋庵 庵主)でした。

姉と12歳離れ、ほぼ一人っ子の私は普段は我がままいっぱい。もともと理屈っぽい事もあって、主人公の典子さんと同じく、最初はいちいち「なぜだろう?」と思っていたものでした。

大学生の時には就職活動を終えた茶道未経験の友人たちが約半年間、茶事ができるようになる事を目指して、ほぼ毎週(だったと思います)実家に集ってお稽古してくれました。懐かしく楽しい思い出です。

『日日是好日』はそんなお茶を始めた頃のフレッシュな気持ちや学生の時に気持ちを思い起こさせてくれます。

「なんで〜?」「どうしてこんな事しなきゃいけないの?」「この前こう言ってたじゃない!(←季節が変わった、お点前が上がった)」はまさに私。

本当に主人公・典子さん(とその反抗心 笑)が重なります。

それでもお茶を続けてきたのですよね。

あ、そうだった・・・私は〇〇だった・・・

そんな事をこの本は思い出させてくれるのです。

ちなみに私の場合は最初の先生が母。お稽古を続けていくと、ある日母が母でなくなる時がきます。「先生」となり、母と「お茶を通じて」会話をしていきます。

それが甘えん坊の私に、母を一人の人間として客観的に見る機会を与えてくれ、また母も私をそのように見てくれ、これが私たち母娘にはとても良かったように思います。


(平成28年7月 東京中野千秋庵にて撮影)

対処法2:イギリス人の茶友とお話をする・・・お茶を通じて大切なお友達を作る

先ほどお話にでましたイギリス人の茶友。在日30年、茶道歴26年。

とても若々しい人ですが、あと数年で古希を迎えます。

背も小さくて人生も未熟な私と、背が高くて複数の国で暮らし本国イギリスで日本文化について修士号も取得した彼女。

そんな凸凹コンビでお茶会やお茶事の旅に出かけます。

海外の方が茶道を始めるとき、

・日本人だから
・日本文化を知っておいた方が良さそうだから
・何となく・・・

と言った日本人特有の発想はありません。

  • 茶道の美しさに心打たれたから。
  • 千利休さんの精神に共鳴したから。
  • 座禅から入り「茶禅一味」の精神を実践したかったから。

など茶道の精神性に惹かれて始められる事が多いようです。

動機や精神がとてもピュア(純粋)なので、お茶について共にお話していると、

「そうそう!本来お茶はそう言うものですよね!」と勇気をいただく事や気付かされる事が多く、気弱になっている時には本当に背中を押されます。

お茶を通じて国籍や年齢を超えた大切な友人ができるのは本当に嬉しい事です。

対処法3:何と言ってもお稽古場で静かにお茶をいただく

「今日はもう疲れたな・・・」
「朝から疲れているな、もう行きたくな〜い!」
「今、お茶をやっている暇なんてないんだ!」

お茶のお稽古を続けていく中でどうしてもこういう日もあると思います。

しかしそういう時こそお稽古場に行ってみる。

疲れた時には疲れた時にしか感じられない音、匂い、味があります。
疲れているからこそ五感が研ぎ澄まされ、元気な時には分からなかった事に気付かされる事があります。

頭がボーッとしていて、何も考えられないのに、手が身体が勝手に動いていた、気付いたらお点前できていた、という喜びに気づくのも意外と疲れている時だったりします。

東京中野千秋庵にも職場や学校の帰りに来られたり、
「これから仕事です」という方が朝早く「頭と心をスッキリさせるためにも」と言ってお越しになったりします。

何より床のお軸や花を拝見してお稽古場で静かにいただくお抹茶は、疲れた体にしみ渡り、エネルギーが体の底からフツフツとわき起こってくるのを感じる事ができます。

(ご注意)風邪やインフルエンザなど明らかな病気の時にはしっかり家で身体を休めていましょう。お稽古に行けるように身体を整えるという事もお稽古の一環なのではないかと思います。

お茶をこれから始められる方に | 茶道は意外と敷居が高くない

映画『日日是好日』は原作者の森下典子さまが横浜でお茶をされている事もあり、三渓園での大寄せのお茶会も出てきます。

このシーンはまさに「お茶会あるある」

・「まーまー」と言ってたくさんの挨拶
・門が開いたら目的地へ向かってゴー!
・お正客が決まらない問題

かくいう私もきっと「まー〇〇様」と言ってご挨拶をさせて頂いていると思います。今度お会いになった方は気付いたら教えて下さい(笑。

私は裏千家ですが、横浜・三渓園では2年に1度「三渓園大茶会」と言って五流派が集うお茶会があります。

2年に1度の三溪園大茶会に行ってきました。更新情報:庭園内の重要文化財の保存修理が始まり、2019年の大茶会は開催されないそうです。 恵み茶会を主宰している古川宗洋です。 ...

三渓園は玄関から敷地内の各お茶室まで距離があります。皆さん濃茶席・薄茶席・点心席と受付終了までに漏れなく、あまり待つことなくスムーズに周りたいわけです。

そのため朝早くから正門前に並び、門が開いたら一斉に走る・・・というような事もあります。

私も初めて三渓園のお茶会に伺った時、

着物の大運動会だ!」と思いました。

そしてお正客が決まらない問題。これはけっこう大問題です。原作・劇中でもありますが、本当にお席が始まらないですから。

私がよく見る例は・・・女性のお客様の中にお一人だけ男性。この場合、待合(本席に入る前の場)でかなりの高確率でお正客にまつり上げられそうになります。男性の皆さまどうぞお気をつけ下さい。

(お稽古を始められたばかりでしたら、ハッキリとそう申し上げれば皆さま解放してくださると思います)

ちょっと「ププ」と笑ってしまうような場面、そんな事もお茶の世界では多いのでどうぞご安心してください。

日日是好日 | Every moment is the gift from God.

樹木希林さん演じる武田先生が初釜にておっしゃいます。

「毎年同じ事ができるっていうことが幸せ」

本当にその通り。東京中野千秋庵でも毎年、庵主・降幡宗惠よりこの言葉が聞かれます。

相変わりませず

です。

裏千家茶道東京中野千秋庵 | 平成30年戊戌歳初釜裏千家茶道・東京中野千秋庵にて平成30年戊戌歳(つちのえいぬどし)の初釜を迎えました。 例年通りお天気に恵まれ、社中の皆様やお客様...

最後に「日日是好日」という言葉を特にキリスト教文化圏の方にお伝えする時に使う言葉をもっておしまいとさせて頂きます。

Every moment is the gift from God.

お天気の良い日もあれば、悪い日もある。
人生はすぐには分からない事だらけ。お茶もそう。だからこそ面白いのかもしれません。

良い時も悪い時も、すべて丸ごと人生を愛してみませんか?

恵み茶会のブログを最後までお読み下さり有難うございました。

映画のパンフレットで武田先生役の女優・樹木希林さんが「この次また縁があって地上に生まれてくることがあったら、小さな茶室を設けて夫と向き合って、静かにお茶を点てながら人生を送る。そういうことをしてみたいなあ、という気持ちになりました」と仰っているのがとても印象に残りました。映画の中で生きていて下さって有難うございます。ご冥福をお祈り致します。

映画『日日是好日』で登場する和菓子屋さんのご紹介(一部)

劇中で出てきた色とりどりの季節の御菓子たち。
お茶をしていて嬉しい事の一つはやはりお菓子です。全国津々浦々、本当に美味しいお菓子があります。
一般のお客様が購入できるお菓子から、茶席菓子専門のお菓子屋さんまで。

ここでは、東京中野千秋庵でもお世話になっている御菓子屋さんや個人的によく頂いている御菓子屋さんをご紹介致します。

「御菓子司 吉祥寺 亀屋蔓年堂」さま

「花びら餅」

裏千家茶道東京中野千秋庵 平成30年戊戌歳初釜にて

↓東京国立博物館のお茶会(平成28年5月5日)でもお届けいただきました。

ご案内 | 東京国立博物館 庭園内茶室「九条館」にて秋のお茶会をさせて頂きます。たくさんのお問い合わせを頂きまして有難うございました。おかげさまで満席となりました。また機会がございましたら皆さまに御目文字致したくどう...

「菓匠 菊家」さま

※写真はお茶席での御菓子ではなく店頭で販売されている御菓子です。
(撮影:平成30年10月)

「菊づくし」

「落ぐり」

映画『日日是好日』インフォメーション

映画『日日是好日』
平成30年10月13日公開
原作 森下典子
監督・脚本 大森立嗣
出演:黒木華、樹木希林、多部未華子
公式サイト:http://www.nichinichimovie.jp/

上映場所 | 横浜での上映館は「イオンシネマみなとみらい」

*桜木町駅前ではなく、横浜ワールドポーターズ5階の映画館です。

住所神奈川県横浜市中区新港2-2-1 横浜ワールドポーターズ5階
電話番号045-222-2525 (自動音声案内)
上映時間・定休日映画館にお問い合わせ下さい
アクセス「馬車道駅」4番万国橋口から約550m 徒歩約10分
「桜木町駅」から約1.1km。汽車道を通って徒歩約13分
駐車場→駐車場について詳しくはこちら(横浜ワールドポーターズ駐車場)
料金一般1,800円
学 生(大高生)1,500円
各種割引制度が豊富なのでお確かめ下さい。
カード利用OK
公式HPhttps://www.aeoncinema.com/cinema/minatomirai/
最新の情報は映画館にお問い合わせ下さい。

観覧車は「イオンシネマみなとみらい」がある横浜ワールドポーターズ」の目の前。

原作者の森下典子先生も武田先生も横浜にお住まいだそうです。夜景もきれいですし、皆さまにもぜひ横浜でも観ていただきたいです。

運が良ければ大桟橋に大型クルーズ船が停泊していることも。

赤レンガ倉庫より横浜初入港「ウエステルダム」をのぞんで。平成30年10月15日撮影。

原作エッセイと続編のご紹介

『日日是好日ー「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』


『日日是好日〜「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(森下典子著・新潮文庫)
文庫サイズ、252ページ

エッセイストの森下典子さんがお茶を習い始めた20歳から25年間、毎回のお稽古やお茶を通じて気づいたことを茶の湯の四季と人生の四季と共に綴っていきます。

お茶って何?という方にとっては、お茶はセレモニーではなく、季節や人生と共に歩んで行くもの。そこにあるもの。そんな感覚が伝わってくるような1冊です。

読めば茶席での松風の音(釜から聴こえるお湯が沸く音)、お茶の匂い、薄茶やお菓子のお味わいが「今ここにある」ように伝わってきます。

お茶をされている方にとっては「お茶あるある」でフッと笑ってしまうこと、うなずくことしきりでしょう。「お茶をやっていて良かった」「そうだ、だから私はお茶をやっていたんだ」、師匠のことなどなど、改めて気づかされることが多いと思います。

解説は人間国宝・落語家の柳家小三治さん。これがまたとってもいいのです。

▼こんな方におすすめ▼
・お茶を習うってどんな感じ?
・お茶って何を学ぶの?
・お茶の世界、お茶のお稽古、お茶の良さについて人に知ってもらえたらと思っているお茶人

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『好日日記ー季節のように生きる』


『好日日記〜季節のように生きる』(森下典子著・パルコ出版)
四六判、221ページ

『日日是好日』続編。お茶を始めて40年の著書森下典子(茶名 森下宗典)さまの瑞々しく心に響く文章が二十四節季に合わせて綴られます。

「お茶のお稽古の記録でもあり、季節のめぐりの記録」でもある(「あとがき」より)本書は、きっとあなたの人生やお茶の季節とも重なるところがあると思います。

平成30年10月13日に公開された映画『日日是好日』で初めてお茶にふれた方にもオススメの書籍です。

▼こんな方におすすめ▼
・お茶を習うってどんな感じ?
・お茶って何を学ぶの?
・お茶の世界、お茶のお稽古、お茶の良さについて人に知ってもらえたらと思っているお茶人

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